2011 Fiscal Year Research-status Report
乳歯による高齢者の若返り医療を開拓する発生・細胞学的研究
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23659967
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野中 和明 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90128067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山座 治義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (30336151)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 乳歯 / 幹細胞 / アンチエイジング |
Research Abstract |
脱落乳歯は、急速に高齢化が進行中の日本社会における『健康なライフサイクル実現』の再生医療細胞源として活用できる。『孫が祖父母の心身の若返り(anti-aging medicine)に寄与できることを実証する挑戦的萌芽研究である』。高等哺乳類にのみ与えられ永久歯との交換時に脱落する『乳歯』には、旺盛な生命力を持つ歯髄組織が存在する。従って、乳歯を組織再生医療に臨床応用できる"発生・細胞工学的研究を遂行する価値がある。 口腔から全身健康向上に寄与し、世代間(孫から両親そして祖父母)での健康社会の継承を推進し、『子ども達の希望に満ち溢れた未来社会』の実現に貢献できる本研究課題に取り組むに到った。本研究課題では、交換期で脱落したヒト乳歯より間葉系幹細胞(SHED) を単離した。単離したSHEDについて、フローサイトメトリーにより幹細胞に特異的な表面マーカーを発現していること、多分化能を有すること、コロニー形成能を有すること、増殖能および自己複製能を有することから、幹細胞としての特徴を有することを確認した。また、蛍光標識したSHEDをマウスに投与することにより、投与されたSHEDがマウス臓器に生着することを確認した。さらに、SHEDのT細胞との共培養や全身性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスへの投与により、SHEDが免疫調整能を有することを確認した。現在、マウスへSHEDを投与して、SHEDの加齢現象への影響について検索中である。今後は、単離したSHEDを凍結保存して、長期保存によりSHEDの幹細胞としての特性を保持していること確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交換期により脱落した乳歯歯髄組織を酵素処理して細胞を採取し,SHEDを単離した。単離したSHEDについて、幹細胞特異的表面マーカーをフローサイトメトリーで検索して、SHEDの幹細胞の特性について確認した。また、SHEDの多分化能を確認するために、SHEDを骨分化誘導培地、脂肪細胞誘導培地、神経細胞誘導培地で培養を行った。それぞれの培養について、骨芽細胞、脂肪細胞および神経細胞に特異的な因子の発現を遺伝子レベルやタンパク質レベルで検索を行い、SHEDが多分化能を有することを確認した。また、SHEDの培養を継続することにより、増殖能や自己複製能についても確認した。 carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester (CFSE) 単離したSHEDをヒト由来のT細胞を共培養することにより、SHEDがT細胞の増殖を抑えることが確認された。また、ヒトSLEモデルマウスにSHEDを投与することにより、マウスにおける自己抗体の減少や組織化学的検索による糸球体腎炎の軽減等が認められた。このことから、SHEDが骨髄由来の間葉系幹細胞と同様に免疫調節能を有することが確認された。SHEDのマウス投与後のマウス内での生着を検索するために、SHEDをcarboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester (CFSE)で標識した。CFSEで標識したSHEDをマウスへ投与して1日および7日後に採取した骨髄からCFSEが確認され、SHEDがマウス組織内に生着することが認められた。 現在、SHEDをマウスに投与して、SHEDのマウスの老化現象への影響について検索を開始しているところである。また、SHEDの長期保存の影響について検索するために、SHEDを液体窒素に保存して、上記と同様の検索を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、SHEDを投与したマウスの長期飼育を開始したところである。SHEDのマウス老化現象への影響を検索するために、長期飼育を継続することにより寿命への影響を検索する予定である。また、SHEDの長期保存における間葉系幹細胞の特性維持への影響を検索するために、SHEDを凍結保存している。凍結後1年以上経過したSHEDについて、間葉系幹細胞としての特性や免疫調節機能について、上記で検索した項目(フローサイトメトリーによる表面マーカーの検索、多分化能の検索、増殖能および自己複製能の検索、免疫調節能の検索など)について検索を行い、長期保存の影響を検討する。 当初の研究計画には組み込まれていなかったが、新たな間葉系幹細胞の細胞供給源として、過剰埋伏歯の歯髄組織から間葉系幹細胞の単離を試みるとともに、間葉系幹細胞しての特性(フローサイトメトリーによる表面マーカーの検索、多分化能の検索、増殖能および自己複製能の検索、免疫調節能の検索など)について検索を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費はSHEDの培養、フローサイトメトリーで使用する試薬、PCRなどの分子生物学的実験、ウエスタンブロットなどのタンパク質レベルでの検索、マウスの購入や飼料などの消耗品の購入、情報収集のための書籍購入に使用する予定である。 また、本研究課題の成果発表の旅費に使用予定である。
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[Journal Article] The primary site of the acrocephalic feature in Apert Syndrome is a dwarf cranial base with accelerated chondrocytic differentiation due to aberrant activation of the FGFR2 signaling.2011
Author(s)
Nagata M, Nuckolls GH, Wang X, Shum L, Seki Y, Kawase T, Takahashi K, Nonaka K, Takahashi I, Noman AA, Suzuki K, Slavkin HC.
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Journal Title
Bone
Volume: 48
Pages: 847-856
Peer Reviewed
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[Presentation] Mitochondria is involved in Miller Syndrome2012
Author(s)
Jingxian Fang, Takeshi Uchiumi, Mikako Yagi, Haruyoshi Yamaza, Dongchon Kang, Kazuaki Nonaka
Organizer
Gordon Research Conference: Craniofacial Morphogenesis & Tissue Regeneration
Place of Presentation
Ventura, CA, USA
Year and Date
2012-03-17
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