2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659974
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 和久 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00182478)
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Keywords | 歯周炎 / 小胞体ストレス / 加齢 |
Research Abstract |
P. gingivalis 口腔感染モデルにおける小胞体ストレスの解析を行うため、C57BL/6マウスに週2回、計10回口腔感染させた。結果、感染群において歯槽骨吸収が誘導され、歯肉における小胞体ストレス関連遺伝子発現が有意に上昇していた。小胞体のタンパク折り畳み機構改善薬剤である4-フェニル酪酸をマウスに投与しつつ感染を行ったところ歯槽骨吸収が抑制された。同群では歯肉の炎症性サイトカイン発現に差は認められなかったが、破骨細胞マーカー発現の有意な減少が認められた。in vitroにおいて小胞体ストレスの破骨細胞形成へ及ぼす影響を確認するため、ヒトCD14陽性細胞をM-CSFおよびRANKL添加培地にて破骨細胞様細胞へ分化する系を確立し、4-フェニル酪酸もしくは小胞体ストレス誘導剤ツニカマイシンを加えて破骨細胞様細胞形成に及ぼす影響を検討した。4-フェニル酪酸添加によりRANKL誘導性の破骨細胞様細胞形成が抑制されたが、ツニカマイシン単独では促進されなかった。以上より、小胞体ストレスと破骨細胞分化による骨吸収の関連が強く示唆された。 次に加齢による歯肉線維芽細胞への影響を検討するため、8週齢と24月齢のC57BL/6マウスより歯肉を採取して線維芽細胞を分離した。5-8回継代の後、P. gingivalisにて刺激を行い、遺伝子発現の変化を網羅的に定量解析した。結果、加齢により炎症性サイトカイン、ケモカイン、Toll様受容体、TIMPsの減少が認められる一方、歯周組織破壊に関わるMMPの遺伝子発現の増加が認められた。また刺激による各種増殖因子の発現上昇が、加齢により抑制されることが明らかとなった。加齢による様々な遺伝子発現の変化が歯周炎の発症と進行に影響している可能性が示唆された。これらの研究結果は今後国際学会での発表や、論文投稿により評価を問う予定である。
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