2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌の増殖や病原因子に影響を及ぼす口腔常在菌の探索と原因成分の解明
Project/Area Number |
23659984
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 英樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50260641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
前田 和彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00346165)
田中 宗雄 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90263300)
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Keywords | 歯周病細菌 / 口腔常在菌 / 病原因子 / バイオフィルム |
Research Abstract |
歯周病細菌が口腔内に定着するためには、口腔常在菌との相互作用が重要な役割を果たしている。本研究で、口腔常在菌であるStreptococcus oralisと歯周病細菌であるPorphyromonas gingivalisを共培養すると、S. oralisは増殖するが、P. gingivalisの増殖は阻害されることがわかった。これは、S. oralisが産生した酸により培地中のpHが酸性になったため、P. gingivalisが増殖できなくなったと考えられた。そこで、培地中のpHに影響をほとんど与えない程度のS. oralisの培養上清を培地に添加し、P. gingivalisの増殖に及ぼす影響を検討したところ、P. gingivalisの増殖は抑制される傾向が認められた。これは、S. oralis培養上清成分がP. gingivalisの増殖に関与するタンパク質の発現に影響を与えていることを示唆している。そこで、P. gingivalis線毛と結合するS. oralisのglyceraldehyde-3-phyosphate dehydrogenase のリコンビナントタンパク質(rGAPDH)を作製し、rGAPDH存在下におけるP. gingivalisの種々の成分の遺伝子発現を調べたところ、P. gingivalis線毛をコードする遺伝子fimAの発現量は変わらなかったが、バイオフィルム形成に関与するluxSの発現量が増加することがわかった。また、rGAPDHとインキュベートすることにより、バイオフィルム形成に関与する種々のP. gingivalis遺伝子(ragA4, abfD, gdh, mdhなど)の発現が影響を受けることがわかった。本研究により、口腔常在菌成分がP. gingivalisの増殖やバイオフィルム形成に影響を与えていることが示唆された。
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