2011 Fiscal Year Research-status Report
二相分配法による安定型高次構造リポ多糖の分離と病原性の解析
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23659985
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤瀬 修 九州大学, 大学病院, 講師 (40315099)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 安定型高次構造リポ多糖 / 二層分配法 / 歯周病原細菌 |
Research Abstract |
(1)効率的なリポ多糖(LPS)の抽出: 細菌よりLPSを抽出する方法としてホットフェノール方が広く使われているが、得られたサンプルを水に溶かしても不溶性のものが相当量認められる。これらはタンパク等の細菌由来分子との複合体や細胞壁と考えられるので、更なる抽出により効率よくLPSを回収することがひつようとなる。そのホットフェノール方に付加的に実施する抽出法として、今回二相分配法を応用した方法を開発した。界面活性剤と酸性バッファーを用いること、さらには二価陽イオンを用いたエタノール沈殿法を超遠心法で行うことで、可溶性の大腸菌LPSを高い回収率で抽出することができた。(2)安定型高次構造LPSの分離: 上記の方法で抽出された大腸菌LPSをポリミキシンBカラムにかけて溶出し精製した。精製LPSを酸性バッファーに溶解して二相分配法を実施すると、界面活性剤相にLPSを集積できた。その界面活性剤相に二価陽イオンを添加したアルカリ性バッファーを加えて二層分配法を繰り返し実施すると、水相に二価陽イオンの介在により安定化した高次構造LPSを回収できた。一方、二相分配法後の界面活性剤相には安定化していないLPSが残存していることとなる。(3)歯周病原細菌における安定型高次構造LPSの発現: 歯周病原細菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)に対して上記の方法で安定型高次構造LPSの分離を実施した。その結果、ATCC29523株では水相からの安定型高次構造LPSと界面活性剤相からの非安定化LPSの両者が検出された。一方、JP2株は安定型高次構造LPS のみが検出され、株間でことなることが解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の当初の計画目標として、「安定型高次構造LPSを分離する二相分配法の確立」を挙げた。具体的内容として、(1)安定型高次構造LPSを分離する際の条件設定、(2)高次構造であることの確認、(3)LPSの検出、(4)安定型高次構造に由来するLPSの精製、(5)安定型高次構造LPSの再形成、の5項目で構成していた。一部実験方法の修正を加えながら、上記(2)以外はほぼ達成できた。平成23年度の計画目標である安定型高次構造LPSを分離する二相分配法の確立はできたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の平成24年度以降の計画として挙げていた通り、以下の項目を実施していく。(1)安定型高次構造LPSの非産生変異株を作製: 安定型高次構造を形成できないLPS変異株と野生株との間で病原性を比較する。二価陽イオンによる高次構造LPSの安定化のためには、LPS分子内で負に荷電しているリン酸基とのイオン結合が必要と推測する。Aaの染色体DNAの全塩基配列は既に公開されているので、それらデータベース上でLPSのリン酸化を制御する遺伝子を同定し、欠失変異株を作製する。(2)安定型高次構造LPSの発現制御遺伝子の変異株を作製: Aaにおける安定型高次構造LPSの発現パターンは血清型依存性であることを我々は確認している。このことはAaが系統的に分化していく過程で、安定型高次構造LPSの発現を制御する遺伝子に相違が生じたことを示唆している。この発現制御遺伝子の違いを遺伝子型としてとらえ、それら遺伝子型間で病原性を比較する。また、発現制御遺伝子の変異株を作製して野生株と病原性を比較する。(3)病原性の解析と化学構造の決定: 上述した野生株vs.変異株、そして各遺伝子型について病原性の違いを確認する。病原性の解析は、リムルス反応、好中球に対するプライミング反応、LBPを介したマクロファージの活性化により行われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な物品費として、株化マクロファージ等を培養するためにCO2インキュベーターが必要となる。その他は、薬品、ガラス器具、プラスチック器具を購入する。平成23年度に確立した、二相分配法を応用した効率的なリポ多糖(LPS)の抽出法について論文作成を行う予定で、英文校正のための費用も必要となる。
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