2012 Fiscal Year Research-status Report
二相分配法による安定型高次構造リポ多糖の分離と病原性の解析
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23659985
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤瀬 修 九州大学, 大学病院, 講師 (40315099)
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Keywords | 安定型高次構造リポ多糖 / 二相分配法 / 歯周病原細菌 / 菌体外DNA |
Research Abstract |
(1)菌体外DNAと複合体を形成して安定化するLPS: 一般的に二相分配法は、タンパクやDNAのサンプル中に存在しているLPSを除去することができると言われている。つまり、タンパクやDNAは水相に残存し、LPSは界面活性剤相へ取り込まれる。しかし、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)のATCC29523株から回収した菌体外DNAを二相分離法で処理後、水相から単離しても、LPSが検出された。菌体外DNAとLPSの複合体がどの様な結合様式をとっているのかは不明であるが、菌体外DNAの存在によりLPSが二相分離法の界面活性剤に対して抵抗性を示し、水相で検出されることが考えられる。 (2)安定型高次構造LPSの非産生変異株を作製: グラム陰性菌のLPSにおいて、内部コア多糖はヘプトースで構成されており、その生合成に関与するwaaD遺伝子およびwaaQ遺伝子が、ATCC29523株にも存在することが確認された。そこで、各遺伝子の欠損株を作製した。その結果、waaD遺伝子は安定型高次構造LPSの産生に、そして、waaQ遺伝子は菌体外DNA複合体による安定型高次構造LPSの産生に関与していた。従って、LPSの内部コア多糖は安定型高次構造LPSの産生に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の当初の計画目標として、「安定型高次構造LPSの産生に関与する分子および遺伝子の同定」を挙げた。具体的内容として、①安定型高次構造LPSの非産生変異株を作製、②安定型高次構造LPSの発現制御遺伝子の変異株を作製、③病原性の解析と化学構造の決定、の3項目で構成していた。 上記①は達成できた。一方、②および③は平成25年度の実施項目として再度あげることとなるが、安定型高次構造LPSの産生に菌体外DNAが関与することが判明したことは、平成24年度の計画になかった大きな進歩と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)安定型高次構造LPSの発現制御遺伝子の変異株を作製: Aaにおける安定型高次構造LPSの発現パターンは血清型依存性であることを我々は確認している。このことはAaが系統的に分化していく過程で、安定型高次構造LPSの発現を制御する遺伝子に相違が生じたことを示唆している。この発現制御遺伝子の違いを遺伝子型としてとらえ、それら遺伝子型間で病原性を比較する。また、発現制御遺伝子の変異株を作製して野生株と病原性を比較する。 (2)菌体外DNAとLPSの複合体の結合様式の解明: 菌体外DNAの存在によりLPSが二相分離法の界面活性剤に対して抵抗性を示し、安定型を示すことが判明したが、両分子間の結合様式は不明なままである。そこで、様々な酵素処理や界面活性剤処理等を行いながら複合体形成の様式を解明する。 (3)病原性の解析と化学構造の決定: 上述した野生株vs.変異株、そして各遺伝子型について病原性の違いを確認する。病原性の解析は、リムルス反応、好中球に対するプライミング反応、LBPを介したマクロファージの活性化により行われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な物品費として、株化マクロファージ等を培養するためにCO2インキュベーターが必要となる。その他は、薬品、ガラス器具、プラスチック器具を購入する。平成23年度から平成25年度までに解明した安定型高次構造LPSの性状について論文作成を行う予定で、英文校正のための費用も必要となる。
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Research Products
(2 results)