2013 Fiscal Year Annual Research Report
二相分配法による安定型高次構造リポ多糖の分離と病原性の解析
Project/Area Number |
23659985
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤瀬 修 九州大学, 大学病院, 講師 (40315099)
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Keywords | 二相分配法 / リポ多糖 / 歯周病原細菌 / 高次構造 / DNA |
Research Abstract |
1.本研究の目的は、菌体より抽出したLPSが二相分配法において界面活性剤相からだけではなく、水相からも検出される理由を解明することである。 2.考えられる仮説として、LPSが液体中で高次構造を形成する際、疎水結合に加えてイオン結合を介するために、界面活性剤による高次構造の分解に対して抵抗性を示し、水相にLPSが残存する可能性がある。その事を示唆する結果として、歯周病原性細菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitans から抽出したLPS水溶液の条件を高いpHあるいは二価陽イオン存在下にすると、LPSは界面活性剤抵抗性を示した。 3.菌体表面には菌体外DNAが存在することは、これまで多くの細菌で観察されてきた。A. actinomycetemcomitans においても菌体外DNAの存在は既に確認されている。本研究では、菌体外DNAがイオン性にLPSと架橋を形成し、菌体表面に存在していることを判明した。 5.本研究ではさらに菌体外DNAを菌体から抽出する方法として、中性化フェノールを用いる方法を確立した。この方法で抽出されたA. actinomycetemcomitans の菌体外DNA水溶液からLPSを除去するために二相分配法を応用したが、低いpHかつEDTA存在下でも水相にLPSが菌体外DNAと供に残存していた。抽出液をDNase I処理して二相分配法に応用すると、LPSのほとんどを界面活性剤相に移行できた。つまり、LPSは菌体外DNAと非イオン性に結合することで界面活性剤抵抗性を示したと考えられる。 6.非イオン性に結合したDNA-LPS複合体を中性化フェノールと二相分配法で抽出した後、その精製のためにアガロースゲル電気泳動と電気溶出法を応用した。その結果、切り出した同一アガロース片にDNAとLPSの両者を検出した。 7.DNA-LPS複合体は非イオン性に結合していると考えられるので、LPSのみの高次構造体とは異なる病原性を示す可能性がある。
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Research Products
(2 results)