2012 Fiscal Year Annual Research Report
唾液タンパク質と口腔細菌の相互作用:菌体付着と菌体凝集を決定する因子の解明
Project/Area Number |
23659987
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
於保 孝彦 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50160940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 恵美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00304816)
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Keywords | 歯学 / 細菌 / 唾液 |
Research Abstract |
口腔ケアによる口腔バイオフィルムのコントロールは口腔および全身の健康のために重要な課題である。唾液タンパク質と口腔細菌との相互作用で起こる2つの現象(固相への菌体付着と液相での菌体凝集)が生じる条件を調べ、口腔細菌のクリアランスを強く進める条件を明らかにすることを目指した。 本年度はハイドロキシアパタイトビーズに吸着したヒト唾液タンパク質gp-340へのS. mutans菌体の付着に及ぼす各種pH、塩濃度の影響を調べたところ、マイクロプレートの場合と同様にpH 4~7およびNaCl濃度10~1000 mMで菌体付着に大きな差はなかった。 次にgp-340のアミノ酸配列をもとに10~20アミノ酸からなる断片ペプチドを作製し、各ペプチドへのS. mutans菌体の付着および各ペプチドの菌体凝集誘導能を評価したところ、SRCRP2への付着とSRCRP5による菌体凝集を認めた。このうちSRCRP2に対する特異抗体を作製してマイクロプレートに吸着させたgp-340におけるSRCRP2の顕示状態を調べたが、本抗体でこの機能領域の検出はできなかった。すなわちgp-340をマイクロプレートに吸着させた状態でSRCRP2は表面に顕示されていない可能性が示唆された。 さらにSRCRP5はS. mutansの菌体凝集に関与する因子である表層タンパク抗原PAcを欠損させた変異株の凝集も誘導することが認められた。この結果から、SRCRP5はPAc以外を認識し菌体凝集を誘導することが認められた。 以上の結果からS. mutansのクリアランスを進めるには、菌体凝集を強く誘導するためにgp-340のSRCRP5領域を活用することが有用であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)