2011 Fiscal Year Research-status Report
緊急被ばく医療におけるサーベイメータアラーム音と防護服の改良に関する研究
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23659994
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
西沢 義子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (60113825)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線 / サーベイメーター |
Research Abstract |
原子力災害発生時においては放射線による汚染の有無を判定するためにGMサーベイメータを用いて測定するが、特徴的なアラーム音が生じる。また、検査者は放射線防御の立場から防護服等を着用する。そのために被検査者は強い緊張と不安を感じる。この点に着目してGMサーベイメータのアラーム音が人間の心理状態に与える影響を明らかにした。 H大学の学生で協力の得られた178名を対象とし、GMサーベイメータ200cpmと2,000cpm、比較対照としてブザー断続音、ピューピュー音の合計4種類を提示した。データに欠損値のない150名を分析した結果は以下の通りである。 防護服を着用した検査者の有無に関わらず、不安・緊張の強度はピューピュー音>ブザー断続音>GM2,000cpm>GM200cpmの順であった。防護服着用により不安・緊張感が増強したのはGM200cpmとGM2,000cpmであった。GM200cpmとGM2,000cpmに対するイメージは、ブザー断続音とピューピュー音に比較し、全体的にネガティブなイメージは少なかった。GM200cpmはややかたく、鋭く、金属性で甲高いイメージがあった。GM2,000cpmはやや澄んだ金属性のイメージがあった。防具服着用によりGM200cpmは汚く、濁って、不快な、迫力のある、好ましくないイメージがやや増強した。GM2,000cpmは強く、迫力があり、好ましくないイメージがやや強くなった。 以上のことからGMサーベイメータのアラーム音はブザー音、ピューピュー音よりも不安・緊張感は強くないものの、防護服を着用すると不安・緊張感が増強し、ネガティブなイメージに変化することが明らかとなった。したがって、放射性物質による汚染の有無を測定する際にはこれらの点を考慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は「GMサーベイメータの音が人間の心理状態に及ぼす影響を明らかにする」ことであった。ほぼ当初の計画通りに遂行し、GMサーベイメータのアラーム音は防護服を着用すると不安・緊張感が増強し、ネガティブなイメージに変化することが明らかとなった。これらの研究成果は第38回日本看護研究学会学術集会(沖縄県宜野湾市、7月7・8日開催)に演題登録し、採択済である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は大学生を対象とした調査であったこと、また3名の協力員が加わりデータ取集したため、諸経費は予想以上に少額であった。これらの研究成果は3名の協力員とともに第38回日本看護研究学会学術集会(沖縄県宜野湾市、7月7・8日開催)で発表するための参加費・旅費として使用する予定である。また、看護師を対象としたデータも収集していることから、今後は集計分析し、第32回日本看護科学学会学術集会(東京都、11月30日・12月1日開催)で発表予定であり、その参加費・旅費として使用予定である。 平成24年度は防護服の機能性に関する研究を行うことから、防護服等の購入および調査結果を質的に分析するための統計解析ソフト(SPSS Text Analysis)の購入に充てる。またデータ入力および資料整理のための作業の必要になりことからこれらの謝金に充てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
放射線の有無を測定する際に着用する防護服のイメージと機能性について明らかにすることを目的とする。 防護服に対するイメージについては弘前大学の学生・教職員約50人を対象とする。防護服、ゴーグル、マスク等を着用した検査者の画像を提示し、「あなたがこのような服装の方に検査を受けるとした場合、以下の点についてどのように感じますか」という教示を与える。調査内容は「このような検査をされる場合のあなたの気持ちについて」、「検査者の服装に対するイメージ」、「検査者の服装に対する要望等」とする。評価方法はSD法およびVAS法を用いて分析する。自由記述内容については統計解析ソフトText Analysisを用いて分析する。 防護服の機能性については本研究科の教員および本研究科で実施している「被ばく医療現職者研修」の参加者約30名を対象とする。防護服を着用し、作業を実施後に防護服等の機能性についてインタビューまたは質問紙調査を行う。インタビュー内容および自由記述内容については統計解析ソフトText Analysisを用いて分析する。
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