2012 Fiscal Year Research-status Report
緊急被ばく医療におけるサーベイメータアラーム音と防護服の改良に関する研究
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23659994
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
西沢 義子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (60113825)
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Keywords | 防護服 / イメージ / 機能性 |
Research Abstract |
1.防護服に対するイメージ 看護学生106名および看護師59名を対象とし、防護服に対するイメージ調査を行った。服装から受けるイメージの測定には防護服、ゴーグル、マスク等を着用した検査者の写真を提示し、服装によって生起する多面的感情状態を測定した。比較対照として、一般的な医療者の服装を提示した。両群とも一般的な医療者の服装に対しては肯定的感情状態の得点が有意に高く、防護服に対しては否定的感情状態の得点が有意に高く、特に「圧迫と緊張」には大差が認められた。一般的な医療者の服装に対しては看護学生の肯定的感情状態「快活と爽快」「充実」の得点が看護師より有意に高かった。防護服に対するイメージは2群間に有意差はなかった。一般的な医療者の服装に比較し、防護服、ゴーグル、マスク等を着用した服装から受けるイメージは否定的感情が強く、多様な服装を見なれている看護師や看護学生でも、防護服から緊張感を受けることが明らかとなった。 2.防護服の機能性について A大学で開催した被ばく医療に関する研修会の受講者20名、および大学教員11名を対象に防護服等を着用した上での作業時の機能性について調査した。防護服等の快適性や活動性などの評価は「非常に良い」から「非常に悪い」の5段階とし、着脱の不都合や希望する改良点について調査した。演習場所の気温は約30.0度、湿度42~50%、平均総演習時間は約90分間であった。防護服等の快適性や活動性などの評価では「視野の広さ」には支障がなかったが、「快適さ」や「細かい手先の作業」「息苦しさ」「活動性」において評価得点が低かった。役割による比較では「患者の処置・除染・看護」の実施者がその他の役割の者に比較して「活動性」の得点が有意に低かった。着脱の不都合や希望する改良点では、ゴム手袋の「2枚目の着用時の難さ」や防護服着用による「暑い・蒸す」等の不快感が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
防護服に対するイメージは看護学生、看護師等を対象に調査を行い、また防護服の機能性に関する調査では被ばく医療研修会に参加した現職看護師、診療放射線技師等を対象に、実際に防護服等を着用した状態で調査を行い、その結果が明らかとなった。 看護学生と看護師の防護服のイメージに関してはThe 16th East Asian Forum of Nursing Scholars(EAFONS)において発表しており、また防護服の機能性に関しては第39回日本看護研究学会学術集会(平成25年8月、秋田市)へ演題登録した。さらに医療者以外の人を対象とした防護服のイメージについては、第2回日本放射線看護学会学術集会(平成25年9月、長崎市)で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は「防護服のイメージおよび機能性に関する調査」の例数を増やすことによってデータの信頼性を高めていく予定である。また、最終年度になることからこれまでの研究成果を基に、サーベイメーターアラーム音ならびに防護服の機能性等を改善するための提言を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
防護服のイメージに関する調査は学内の教職員を対象に調査が可能であったこと、および機能性に関する研究は本研究科で被ばく医療に関する現職者研修を実施していることから、データ収集の経費が予想よりも少なかった。平成25年度はこれらの経費を使用し、以下のような計画を立案している。 1.GMサーベイメータアラーム音の改良に対する提言 2.緊急被ばく医療における検査者が着用する放射線防護服の改良に対する提言 上記の研究を行うために緊急被ばく医療教育を担当している専門家(教育者)を対象としたグループインタビューを予定しており、そのデータを逐語録として作成するための謝金が必要である。特に防護服の改良に関してはグループインタビューの結果を踏まえて、色彩等も考慮した望ましい防護服をデザインすることを予定しているために、その経費が必要である。また、平成24年度研究成果は第39回日本看護研究学会学術集会(開催地:秋田市)、第2回日本放射線看護学会学術集会(開催地:長崎市)およびThe 17th EAFONS(開催地:フィリピン)にて発表するために旅費が必要である。
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Research Products
(3 results)