2012 Fiscal Year Research-status Report
看護における評価需要の体系的整理と評価の専門性を有す人材の育成プログラムの開発
Project/Area Number |
23660000
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
菅田 勝也 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (20143422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 麻未 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10451767)
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Keywords | 評価 / 看護管理 / 人材育成 |
Research Abstract |
看護において評価が必要な領域を明らかにするため、日本看護協会ホームページに氏名・所属が公開されている全国の認定看護管理者から、都道府県別の層化無作為抽出により20%の抽出率で281名を抽出し、2ラウンドのデルファイ調査を実施した。調査内容は、昨年度の調査に基づき、現在評価の対象となっている活動と、今後評価が必要になる活動の計24項目について意見を求めるものとした。具体的には、これらの活動の評価を行う際に、「数値化できる指標があること」「現状の良し悪しを判断する基準があること」「改善すべき問題が把握できること」「現在の取り組みや活動に効果があるかどうか示すこと」「現在の取り組みや活動の効率性(費用からの)を示すこと」の5つの要素が「重要である程度(重要度)」「評価手法が充足している程度(充足度)」「今後評価手法を開発あるいは洗練させていくことが必要である程度(必要度)」を尋ねた。2ラウンドとも協力が得られたのは49名(17%)であった。5つの要素すべてに対して、80%以上が重要度を「かなり重要」以上と評価したのは16項目であった。そのうち、転倒転落予防対策やカテーテル関連感染予防対策は、必要度は「ある程度」が多かったが、充足度が「ある程度」以上であることから、数値による評価や改善の活動が一定レベル普及していると考えられた。「患者の治療・看護への参加の促進」など患者との対話に関する活動は、充足度が低くても重要度・必要度の評価が高くない傾向があり、自由記載で理由の記述を求めたところ、数値による評価の意義を感じていないという回答が得られた。充足度が低く必要度評価が高かったのは、「看護部門の病院経営に対する貢献」「看護管理者の育成」など組織の内部管理に関する項目と、「患者・家族への指導/教育」の効果あるいは効率性の評価であり、これらの領域における評価の充実が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的は、評価に関する専門的知識と技術を持って看護に関連する評価を実践できる人材を育成するためのプログラムを作成・施行することであり、今年度はデルファイ調査に加え、多方面からの情報を集めてプログラム試案を作成する予定であった。実際の進捗状況としては、デルファイ調査の実施まで進んだ段階であり、年度ごとの実施計画からみると、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ったデルファイ調査の結果に加え、評価学の専門家の助言、及び国内外の看護領域における評価実践に関する情報をもとに、看護師を対象とした評価に関する基礎的・専門的知識と技術を教育するプログラムの試案を早期に開発する。縁故施設から看護師10名程度を募集して講義や演習のプログラム試案を施行し、その効果を測定するとともに、各施設における波及効果について調査する。以上のプロセスによって、有用かつ実用的な人材育成プログラムの完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として繰り越すのは、今年度、デルファイ調査の結果に基づいて行うことにしていた評価学の専門家から助言を得るために使用する予定だった経費と、今年度に計画していた海外情報の収集を、次年度に開催される大きな学術集会(2年毎の開催)に参加して行う方が適切であると考えて計画を変更したために生じたものである。次年度の経費はこれらに加えて、研修会形式で行う講義や演習のための講師謝金、旅費、研究補助者謝金、会場費、印刷製本費などに使用する予定である。
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