2012 Fiscal Year Annual Research Report
しびれの多次元的測定・評価方法の確立と,しびれ評価ガイドラインの作成
Project/Area Number |
23660008
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
赤松 公子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40346664)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
|
Keywords | 糖尿病患者 / 手足のしびれ / 皮膚感覚感受性 |
Research Abstract |
しびれは人々のADLやQOLを大きく阻害するが,有効な治療法はなく,しびれの評価基準さえ確立されていない。また,しびれという自覚症状がどのようなものであるかについて,系統的に追究した研究もほとんどない。研究者らは,しびれの多次元的測定・評価方法の確立と,しびれ評価のガイドラインを作成することを目標に研究を続けてきた。その過程において,生活習慣病の中でも増加の一途を辿る糖尿病患者に生じるしびれに着目した。多くの研究者が糖尿病の足のしびれを扱ってきたが,足より比較的軽度で,しかも遅れて発症するといわれる手指のしびれとその関連要素を精査することは,しびれの出現を予測するためにも重要であると考えた。本研究の目的は,糖尿病性神経障害によるしびれのある患者を対象に,しびれの特徴と,しびれと皮膚感覚感受性との関係を多次元的に測定・観察することである。 一病院の糖尿病外来患者のうち,しびれがあり,右利きで65歳以上の20名に同意を得て,しびれの特徴,強度,出現頻度について問診し,次いで皮膚感覚感受性を測定した。 その結果,対象患者20名全員に足にしびれがあり,手にしびれがあったものは8名であった。足のしびれの強さは手のそれに比べて有意に高かった。これは糖尿病によるしびれが疾病の進行とともに足から手へと漸次拡大する傾向があることを支持する結果であった。そこで,しびれ発症の比較的初期と思われる手に注目し,手にしびれがある患者(n=8)と,ない患者(n=12)の2群間で皮膚感覚感受性を精査したところ,前者では環指(第4指)の感受性が後者に比べて有意に低下していた。また,しびれがまだ手に波及していない患者では,健常者の場合(赤松ら,2009)と同様,環指の感受性が示指(第2指)のそれより高かった。 糖尿病患者の環指の感受性低下と同患者のしびれ発症との間には何らかの関連性があることが示唆された。
|