2011 Fiscal Year Research-status Report
舌機能に着目した咀嚼嚥下機能向上支援プログラムの開発
Project/Area Number |
23660016
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
坂下 玲子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40221999)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 健二 独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (90253898)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 舌機能 / 口腔 / 高齢者 / 咀嚼嚥下障害 |
Research Abstract |
平成23年度は、咀嚼嚥下障害をもつ高齢者の舌運動の特徴の分析と舌機能評価方法をまず文献レビューを実施した後、簡易的な舌機能評価を開発し、試行し、評価を行った。1.文献検討:医学中央雑誌Web Ver.4にて「舌and機能」をキーワードとし、対象を原著または解説に絞り込み、1983~2011年(全年)の文献を検索した結果、105件の文献が抽出された。抽出された105件の文献のうち、所蔵が確認できず、取り寄せできなかった3件を除く102件の文献において文献レビューを行った。抽出された文献は、「口腔機能評価の開発」「口腔機能評価システムの開発や改良」「訓練法・プログラムの開発」「解剖的特徴の解説」「加齢に伴う変化」の5つのテーマに分類できた。舌機能の評価としては、専門機器を用いるVF検査やVE検査、機器を必要としない問診、視診、聴診および様々なスクリーニングテストなどの評価法が試みられていた(高橋、2009;柿澤ら,2008)。また、表面筋電図などの機器のシステムについては、測定する部位や値、使用する部品、回路や他の機器との組み合わせが試行錯誤されていた。これらの内容を踏まえ舌の動きを伸展能力と舌運動コントロールから評価する簡易指標を作成した。2.舌機能測定簡易指標の試行:施設で介護を受ける高齢者 154名(年齢69~102歳)を対象として、舌機能簡易指標の妥当性について検討した。舌の伸展能力が低いものでは食事の形態は落ち、食事介助が必要なものは舌の伸展能力、舌運動のコントロールは低い値であった。舌運動のコントロールが低いものでは有意にムセの回数が多かった。このようにこの舌機能の簡易指標は摂食嚥下状態を予測可能であることが明らかになった。一方、この指標は指示を実行できない認知症などの高齢者では測定が難しかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は、咀嚼嚥下障害をもつ高齢者の舌運動の特徴の分析と舌機能評価方法の検討することであったのでおおむね順調に進展している。平成23年度は文献レビューを行い、舌機能の簡易指標を作成し、試行し、その妥当性を検討することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、高齢者を対象とし、対象者が心地よいと感じ、積極的に参加できる舌マッサージを開発し、舌機能に着目した咀嚼嚥下機能向上支援プログラムを検討することにある。今後、効果的な舌マッサージ法の体系化、舌機能向上に焦点をあてた咀嚼嚥下機能向上支援プログラムの検討、開発したプログラムの試行、プログラムの評価と精錬を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、効果的な舌マッサージ法の体系化、舌機能向上に焦点をあてた咀嚼嚥下機能向上支援プログラムの検討と試行をする予定である。専門家らによる検討を行うため複数回の会議を実施するため旅費と専門家への謝金が必要となる。また開発したプログラムを試行するため、調査にかかる旅費、謝金や、口腔機能測定、口腔検診にかかる研究費が発生する。平成25年度は、データ分析をするため、データ入力にかかる賃金が必要になる。またエキスパートパネルによりプログラムの精錬を行うため、複数回の会議をひらくための費用と、参加者の旅費、助言をうける専門家らへの謝金が必要となる。
|