2012 Fiscal Year Annual Research Report
手指衛生アドヒアランス向上のための皮膚保護剤を用いた介入プログラムの実施と評価
Project/Area Number |
23660019
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
塚本 容子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (20405674)
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Keywords | 手指衛生 / アドヒアランス / 手荒れ / 医療関連感染 / 手指の保湿 / 皮膚保護剤 |
Research Abstract |
本研究では、医療関連感染予防のために最も重要とされる手指衛生のアドヒアランスを向上するために、そのリスク因子とされている「手荒れ」に焦点を当てて、現状及び介入を実施した。まず、手指衛生を頻回に行う可能性が高い、患者に直接接する医療従事者を対象に、現在の手の保湿状況を水分蒸散計を用いてデータ収集し、手指衛生との関連を調査した。同時に、医療従事者自身の手荒れの認識と実際の保湿状況の比較を行ったところ相関がみられず、自己認識との乖離が確認された。研究結果として重要であったのは、手荒れと認識していないが、実際は皮膚の状況がよくなかった医療従事者が統計学的に有意に多かったということである。 次に、皮膚保護剤を実際に使用してもらい、使用前後で手の保湿状況の違いを検討した。日常的に頻回に手指衛生を実施している対象者では、保湿状況の改善は難しく、改善率も低い結果となっている。また、手指衛生でもアルコール製剤をより頻回にしようしている群では、水と石鹸を頻回に用いる群と比較して、手の保湿状況は有意に高い結果であった。皮膚保護剤での介入では、平均スコア20が介入後高くなっており、これも統計学的に有意な結果であった。しかし、介入後のアンケート調査で、継続して皮膚保護剤の使用は経済的ににも難しい現状があり、今後の課題となった。 皮膚保護剤を用いることで、医療関連感染率の有意な低下は見られなかったが、本研究の調査期間においては、ベースラインの感染率が低かったこともあり、その有用性について考察するのには十分な調査期間ではない可能性がある。今後、継続して感染率を追跡していく必要がある。同時に、費用対効果についても算出することが重要である。
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