2011 Fiscal Year Research-status Report
三次元平均顔画像を用いた脳血管障害患者の顔印象による神経看護アセスメント法の確立
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23660023
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 景一 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (00191883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 典子 東京女子医科大学, 大学病院, 看護師 (10517436)
原 三紀子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (90291864)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 顔画像処理 / 顔印象 / 脳血管障害 / 意識レベル評価 |
Research Abstract |
脳血管障害患者の回復過程において、顔印象の観察結果は相貌が意識障害の回復に伴って変化することを経験的に示している。顔印象の変化の観察を通して、回復期から慢性期に移行する患者の意識障害の改善の程度を客観的に評価できれば、顔印象の変化は新しい神経看護アセスメントの指標として利用可能である。平成23年度は、顔印象による神経科学看護アセスメントの新しい指標を確立するために、最初に研究者が所属する大学の倫理委員会における審査を受けた。科学的観点と倫理的観点からその妥当性が承認された後に、(1)研究参加への同意が得られた回復期にある脳血管障害患者の意識レベルの回復段階に応じた4段階の三次元平均顔画像を、コンピュータグラフィックスから構成する。次に、(2)顔表情の記述システム(FACS)のアクションユニット(AU)を用いて、顔全体の形態および表情筋群の状態の変化から、意識レベルの回復段階と顔印象の変化との関連をアセスメントする。対象は、脳外科専門病院に入院中で、Japan Coma Scaleで意識レベルが清明と診断された回復期にある脳血管障害患者10名(男女各5名)であり、現在、データ収集中である。顔印象の神経看護アセスメントの方法は、ベースラインから3週間後までの4段階の平均顔を回復過程に沿って並べ、顔全体の形態および表情筋群の状態の変化から、平均顔の変化を研究者らがアセスメントするものである。これから得られた4段階の三次元平均顔画像は、次年度に行う看護師らによる顔印象のアセスメントに活用され、脳血管障害患者における顔印象の変化を用いた神経看護アセスメント指標の開発につなげるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、以下のことから、おおむね順調に進行していると考えられる。すなわち、(1)東京女子医科大学倫理委員会による倫理的観点および科学的観点からの妥当性に関する倫理審査をすでに通過し、顔画像データの収集に入っていること。(2)データ収集施設は、本学の関連病院および実習等で関連している病院の協力を得られている。(3)研究者らは、すでに本研究課題の予備的研究を実施してきた経緯があるので、顔画像処理に関わるコンピュータグラフィックスの操作に慣れていること。(4)看護学研究者、医工学研究者・脳外科学専門医、臨床の専門看護師による研究体制がうまく組まれていること。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の結果を基にして、以下の方法を用いて顔印象の変化を用いた神経看護アセスメント指標を開発する。研究への参加に同意を得られた大学病院に勤務する看護師と看護大学生の各100名を対象者として行う。(1)ランダムに並べたベースラインから3週間後までの4段階の三次元平均顔画像を、正面像・45度斜面像・側面像の3種類を用意する。次に、(2)看護師と看護学生が、意識障害の回復過程に応じた順序に各画像を再現できるかどうかを検証する。(3)その際看護師と看護学生は順序を再現するときに考慮した顔印象の内容を、意識レベルが良い場合と悪い場合に分けて記述する。(4)再現性の正答率を統計学的に解析し、顔印象の判断内容との関連性を突き合わせることで、顔印象の変化を用いた神経科学看護アセスメント指標と顔データベースを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究経費の使用計画は、以下のとおりである。すなわち、(1)顔印象のアセスメントの研究に参加する看護師と看護学生への謝礼(図書カード:2000円/名、計200人分)、(2)顔印象のアセスメント用に使用する顔画像の印刷費(光沢紙とプリンター用インク、計200名分)、および、(3)国際学会発表用旅費(2名分)である。
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