2013 Fiscal Year Annual Research Report
母乳分泌量維持要因の探索的研究~NICU入院中の母親の肯定的体験~
Project/Area Number |
23660056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 祥子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50271961)
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Keywords | NICU / 母乳育児 / 搾乳体験 / 家族支援 / 肯定的体験 |
Research Abstract |
本研究の目的は,NICU入院時を持つ母親の搾乳体験を記述的に明らかにすることである.本研究の結果を3点にまとめ報告する. まず「早産児の母親の搾乳体験」である.分析の結果【精一杯の産後】から始まり【目覚ましをかけての搾乳】となり退院後【搾乳困難にぶつかる】経験をしていた.この困難を乗り切るには【家族の助け】や,子どもへのポジティブな思いが【搾乳へのポジティブな思い】へと繋がり,産後1カ月までに【自分のライフスタイルに合わせた搾乳】を確立していた.出産直後の不安定な時期への看護介入が必要であり,母親が自分の出産体験を受け入れ,子どもを受容することが重要である.看護者は母親の身体・精神的健康度を把握し母親に寄り添い,搾乳の介助・支援をし【自分のライフスタイルに合わせた搾乳】を母親ができるよう児への面会時などに気軽に相談できる場所の提供が必要である.2点目は「母親の出産体験」についてである.NICU入院児の母親は,お産を「突然のこと」と捉え「家族や子どもとの関係について」の記述がなく,出産した児を家族の一員として捉えにくいことが特徴的であった.そのため,家族を含めて児との関係性を育むことが,出産体験の肯定的な受け止めを支援することで,母親は肯定的な体験をし,搾乳へ前向きになれると考える.3点目として「子どもとの面会」である.初回面会までに抱く【子どもに会うことで不安が和らぐことを期待】する感情や【意識的に不安を押し込める】感情があり,それは初回面会時の【子どもに生きて会えた喜び】へ繋がり,これらの感情が高まることで母児の愛着形成が促進されると考える.また,【他者から認められることで気持ちが和らぐ】体験,【同胞の存在に安心】することも大切であり,家族が母親と前向きに関わることができるよう家族への心のケア,母親を特別扱いしない,頑張りを認める声掛けを心がけた支援が必要である.
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