2011 Fiscal Year Research-status Report
「家族発達理論」を代替する新しい「家族の成長・発達区分」の提唱とその実証研究
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23660064
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
法橋 尚宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60251229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 順子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (50585057)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 家族看護学 / 家族発達理論 / 家族の成長・発達 / 理論 / モデル |
Research Abstract |
国内外の文献データベースから,家族構造と家族機能,両者の関係などを記述した文献を収集し,システマティックレビューを行い,専門家の意見集約などを加えて,「家族システムユニットの成長・発達区分(法橋)」の第一案を作成した.これにもとづいてインタビューガイドを作成し,多様な家族を対象とするため,日本に在住の7家族と香港に在住の11家族に対して,半構成面接調査を実施した.同時に,家族機能尺度SFE(The Survey of Family Environment)に回答してもらい,量的データと質的データをミックス法により分析した.その結果,家族システムユニットの成長・発達区分として14区分が同定でき,各区分の定義を明確にし,対象者が理解しやすい区分とした. さらに,「家族システムユニットの成長・発達区分(法橋)」のアセスメント方法を検討するために,家族システムユニットの成長・発達区分と家族機能尺度SFEを用いた質問紙調査を実施した.香港の日本人学校小学部2校の協力を得て,718家族1,436人に質問紙調査を実施し,438家族794人からの回答が得られた.夫婦ペアで回答が有効であった662人(331組)中,302人(151組)(45.6%)が夫婦の回答が一致せず,異なる区分を選択していた.今後,家族員同士で相談して区分を同定してもらう方法を採用するなど,回答方法を改良する必要であることが示唆された.一方,家族機能得点を従属変数,各成長・発達区分の該当を独立変数(ダミー変数)とした重回帰分析の結果から,混乱突入期の該当は家族機能の低下に影響し,充実期の該当は家族機能の向上に影響することが確認された.したがって,家族システムユニットの成長・発達区分を回答してもらうことで,対象家族の家族機能を評価できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はパイロットスタディまでを行う計画であったが,計画以上の対象者にミックス法による調査を実施し,さらに計画にはなかった大規模な質問紙調査も実施し,計画以上の研究を推進できた.したがって,当初の計画よりも,「家族システムユニットの成長・発達区分(法橋)」の構築が確実なものとなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
「家族システムユニットの成長・発達区分(法橋)」のアセスメント方法の確立を第一優先として,夫婦ペアを対象とした面接調査を実施する必要がある.さらに,当初の計画通りに,多様な家族をリクルートすることによって研究を拡大し,「家族システムユニットの成長・発達区分(法橋)」の検証を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
量的データ分析のために統計解析ソフトウェアの購入,国内外での研究打ち合わせと調査のための旅費,研究補助および資料整理のための謝金,質問紙の印刷費,質問紙の発送と回収のための通信費などに使用する予定である.
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Research Products
(2 results)