2011 Fiscal Year Research-status Report
上の子を家族立ち会い出産に参加させた母親の体験と子どもへの影響-13年後の追跡-
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23660075
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
月僧 厚子 福井県立大学, 看護福祉学部, 講師 (00170720)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 立ち会い出産 / 上の子ども / 母親の体験 / 子どもへの影響 |
Research Abstract |
面接法を中心とするフィールド調査を開始した。研究対象は13年前に上の子どもを家族立ち会い出産に参加させ、妊娠末期から産後3年目まで行った4回の面接調査の全過程に参加した母親と、立ち会った上の子どものうち当該年度中に面接を実施することができた母親3名と上の子ども4名であった。母親の年齢は40歳~48歳であった。子どもの年齢は15歳児1名、17歳児2名、19歳児1名であり、性別は女児3名、男児1名であった。当該年度の7月から面接対象である子どもとの面接時期及び面接場所の調整を開始し、同年12月から平成24年1月に面接調査を実施した。面接場所は主に対象者の自宅を使用し、対象者からの希望に応じて助産院等の一室で落ち着いて話ができる場所を使用した。面接及び分析はSpradley(1979)による民族学的インタビューを参考に行った。 面接調査の結果、母親から出産前後の記憶が断片的に表現された。内容は過去の面接において表現された内容と一致していた。その後次子出産を体験した母親は、再び上の子を含む立ち会い出産を選択していた。立ち会った子どもの記憶については、当初2歳0ヶ月であった子どもの場合、自身の記憶か人伝に聞いた話の記憶かが曖昧であった。当初4歳以上の子どもの場合、立ち会いに関して断片的に表現された内容は、出産場面のVTR映像及び母親の表現と一致していた。また、当該研究期間に研究対象となった母親3名中全員が子どもを出産に参加させたことを肯定的に評価しており、参加した子ども4名中全員が、出産場面に立ち会えて良かったと評価していた。 当該年度に得られた研究成果の意義、重要性としては、立ち会った子どもが青年期に達した時点における出産の記憶とそれに伴う感情、出産への立ち会いから今日に至る過程で遭遇した立ち会い体験に基づく出来事等について面接データの一部を収集し、分析を開始できたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、第2子以降の出産に際して、上の子どもを出産場面に参加させた母親の体験と、母親の出産場面に立ち会った子どもへの影響を明らかにすることを目的とした縦断的継続研究の一部である。今回申請する研究期間内の目的としては、出産への立ち会いから13年が経過し、立ち会った子どもが青年期に達した時点における、上の子どもを出産場面に参加させた母親の体験と出産に立ち会った子どもへの影響について、質的記述的研究により明らかにすることである。上記の研究目的達成に向けて、当初作成した研究計画書に従い研究を実施できていることから、当該研究がおおむね順調に伸展していると評価した。 ただし、当該年度中に面接が可能となった家族は3家族であり、研究対象は母親3名、及び上の子ども4名と当初の計画よりも少なかった。 その理由としては、面接調査準備の開始が当該年度の7月とやや遅れたこと、及び研究対象である子ども達が15歳から19歳となり、中学、高校、大学での勉学、クラブ活動、受験勉強等が生活の重要な位置を占める時期にあるため、面接時期の調整に十分な配慮が必要であったことが影響していたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、当該年度に引き続き対象となる家族の数を増やすとともに、インタビューガイドに従い1家族について2回から3回の公式的な半構成的面接を行う予定である。2回目以降の面接では、既取得データの不明確な箇所を確認して対象者の表出の意味を顕在化させることを心掛けたい。 また、面接調査と同時進行で、当該年度以上に重視してデータの質的分析に取り組む必要があると考える。上の子を家族立ち会い出産に参加させた母親の体験、及び立ち会った上の子への影響について、それぞれの体験の構造を発見するため、Spradley(1979)の手順を参考に、文脈に沿ってデータの意味を明らかにしたうえでコード化し、意味の類似性に着目して上位カテゴリーにまとめ上げていく手順を踏み、カテゴリー間の関係性を明瞭化して対象者等の体験の全体像を明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は、主にデータ収集、及び分析に用いる備品購入費として研究費を使用した。次年度は、主にデータ収集及び分析の作業に要する費用に、研究費を使用することを計画している。(1)データ収集、分析に要する費用として、(1)調査研究旅費:20,000円、 (2)対象家族への謝金:82,500円(5,500円/1人×3人/1家族×5家族)、 (3)テープ起こし委託費:165,000円(11,000円/1人×3人/1家族×5家族)、 (4)研究補助:132,000円(5,500円×4回/月×6ヶ月)(2)研究打ち合わせに要する費用として、 (1)指導助言者への謝金:20,000円(10,000円×2回)、 (2)研究打ち合わせ旅費:40,000円(20,000円×2往復)(3)消耗品費として、40,500円
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