2013 Fiscal Year Research-status Report
光ブロードバンド回線を利用して病院内学級と原籍校を結ぶ学童の復学支援
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23660078
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
高野 政子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (30316195)
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Keywords | 病院内学級 / 原籍校 / 光ブロードバンドネットワーク / 復学支援 / 連携 / 小児がん |
Research Abstract |
本研究は、慢性疾患や小児がん等のために長期入院を余儀なくされている学童期の子どもが入級する病院内学級と原籍校(入院前に在籍していた地元の学校)を光ブロードバンドネットワークで結びTV会議形式の双方向通信による授業展開の可能性を検討すること、および、本システムの利用による学童期の慢性疾患や小児がん患児の心理・社会的効果についても検討する。さらに、チーム医療での看護職の役割についても調査を実施し連携について検討することを目的とした介入研究である。 平成25年度は、介入した5事例の復学状況を対象児と家族、原籍校に教員にインタビュー調査を実施した。協力した5事例は6歳~8歳時に入院した固形腫瘍2事例と急性リンパ性白血病3事例で、TV会議システムを使いた期間は、3カ月間から6ヶ月間であった。システムを用いた交流は3回~9回/人の開催していた。保護者は全員母親で、平均37.2歳であった。担任教師は平均44.1歳であった。対象児が低学年であり、化学療法治療が落ち着いてクラスメートとの交流を第一の目的とした。自己紹介や、クイズ、楽器演奏で交流できた。その結果、復学時には病児を仲間として受け入れ、精神的距離感が生じることもなく、スムーズに復学できた。学童期には復学支援に双方向交流ができることが重要であることが示唆された。研究成果は「An Evaluation of An Internet-based TV Conference System(TVCS)to link children undergoing chemotherapy in-hospital classes and their regular school class」という演題で、45th Congress ofthe International of Pediatric Oncology(香港 9/25-28 2013)にて口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の成果として、対象事例5名と保護者および教員に対する面接調査を実施して、TV会議形式の双方向交流により、特に発症年齢が小学校入学前後の小児がんの子どもたちの 復学支援に有意義であることが明らかとなり、保護者の意見からも体調が落ち着いた時期まで待ち、介入するよりも早い時期からの介入も必要ということが示唆された。 日本小児がん学会や国際小児がん看護学会で口頭発表したように、成果を定期的に公表することができた。しかし、論文を作成し研究成果を報告することで、小児医療に関わる専門職に、小児がん等の復学支援のあり方について考える機会とするよう、公表することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題は、小児の入院が短期化、頻回化という特徴を示す中、小児がん等は変わらず、初回は長期入院を強いられているので、今後も継続する必要がある。 しかし、化学療法で抵抗力を示す検査データが低値の時には、対象児は自分の部屋の中では活動はできるのであるが、病院内学級への参加ができないことでTV会議システムは十分に活用し、交流を展開できないことが明らかとなった。 現在、考えているのは、iPad の機能を使えば、自室にいても交流は可能であるので、本システムの光ブロードバンドというツールをiPadに変更してシステムを構築する方向で検討したいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者の確保難:小児がんなど長期に原籍校を離れて療養を必要とする子どもが入院する施設は多くない。現在調査の協力施設を1施設にしているため限界がある。小児がんという研究領域であるので、協力者の事情を優先する倫理的配慮が必要という事情がある。 装置の開発遅延:光ブロードバンド回線を使用するよりも、iPadなどタブレット端末が急速に進歩しており、利用者も子どもから高齢者までと幅広く使えるツールとなっている。iPad等タブレット端末なら病室内隔離の状況でも利用できる方法が開発できるのではないかと検討している。 過去3年間に実施した調査を成果として英文含む論文作成と投稿費として使用する。また、今後も小児がん等長期療養の子どもたちの復学支援を継続するので、さらに、iPad等新しい機器を購入して、誰でもが活用できる汎用性のある方法を開発することに使用したい。
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Research Products
(2 results)