2012 Fiscal Year Annual Research Report
新生児における痛みに対する甘味による鎮痛効果を明らかにする研究
Project/Area Number |
23660084
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
掛田 崇寛 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (60403664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
判治 康代 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (70595800)
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Keywords | ヒト / 緩和 |
Research Abstract |
本研究の目的はヒト新生児を対象に、採血に伴う痛みに対して海外で行われている甘味を用いた疼痛緩和手段が本邦の新生児での同様の効果が期待できるか否かを解明することであった。実験では正期産新生児を対象に、先天性代謝異常検査(ガスリー採血)に伴う採血時痛に対する味覚刺激の有用性について検証を行なった。また、本研究を行う上でいくつかの技術的及び予備的検討を行なった。まず、新生児が感じている痛みを客観的に評価するために、精神性発汗に着目して新生児用にプローブの小型改良と測定手技について検討を行った。次に、採血時の新生児の痛みに対する発汗反応は成人に比べて小さいものの、痛みの発生に応じて微量ながら反応する児が多いことを見出した。また、発汗反応から、効率的に血液を採取するために踵部分を搾る行為は、その後の発汗が遷延した児もいたことから、こうした行為は痛みの増強をまねく可能性が示唆された。同様に、新生児の痛み反応を非侵襲的に採取及び評価可能な、唾液中クロモグラニンAに着目して指標に採用可能かを検討した。しかし、スワブを用いて口腔内を拭うことで唾液は採取できるが、得られる検体量は極めて少量であった。また、解析結果を得るためには概ね150μL以上の唾液検体が必要であると判断した。その上で、採血時痛に対する味覚刺激の効果を新生児で検証した結果、有意差までは認めないが痛みに伴う啼泣潜時は甘味シロップを与えた群では他に比べて短縮した。以上から、本研究の実施によって本邦における新生児での痛みの評価及び味覚刺激に関する基礎的知見を得ることができた。
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Research Products
(5 results)