2012 Fiscal Year Research-status Report
要介護高齢者に対する補完代替療法として有効な看護介入モデルの開発
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23660101
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90382431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明時 由理子 佐賀大学, 医学部, 助教 (50612074)
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Keywords | 要介護高齢者 / 補完代替療法 / アロマセラピー |
Research Abstract |
【研究目的】施設入所中の要介護高齢者に対するアロマセラピーの効果を明らかにする。 【研究方法】介入方法:①対象者の希望に応じた、1%濃度のローズウッドまたはラベンダーオイルを付加したハンドマッサージ:マッサージは左右合計で14分間実施した。評価指標として客観的指標には唾液アミラーゼ活性値、主観的指標にはD-QOLとアロママッサージに対する聞き取り調査を行った。②ラベンダーオイルを付加した芳香浴を20時~8時間実施した。評価指標には、アクチグラフを用い、夜間の睡眠覚醒パターンを測定した。 【結果】1.対象者の属性:対象者は9名で、平均年齢90.1(±6.9、範囲82~104)歳、全員女性、MMSEは平均18.3(±2.6、範囲15~22)点だった。2.唾液アミラーゼ値の変化:マッサージ開始前の平均唾液アミラーゼ値は281.7(±160.1、範囲10~486)KLU/L、マッサージ終了直後は138.8(±121.6、範囲17~333)KLU/Lと、マッサージ直後は有意に低下していた(P=0.011)。3.睡眠覚醒リズム:アクチグラフの装着による睡眠覚醒リズムの測定ができた4名のうち2名は、介入前のベースラインに比べて、介入後の総睡眠時間が長かった。4.D-QOLの変化:D-QOL総点および「美的感覚」「自尊感情」「肯定的情動」「否定的情動」「所属感」「生活の質」5つの下位概念について介入前後の得点変化を比較した。その結果、D―QOL総点は介入前に比べて介入後の方が有意に得点が改善した。5つの下位概念は「美的感覚」「肯定的情動」「否定的情動」「所属感」「生活の質」の得点は改善し、中でも「所属感」は介入前に比べて介入後の方が有意に得点が改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、アロマオイルを付加したハンドマッサージに加えて、夜間の芳香欲の効果の検証に取り組んだ。 アロマオイルを付加したハンドマッサージの効果では、前年度は対象者の人数が少なく客観的指標である、唾液アミラーゼによる効果の検証ができなかったが、本年度は対象者の人数を増やしたことで、ハンドマッサージの効果を検証することができた。主観的指標であるD-QOLの変化においても、D-QOL総点と、下位尺度のうち「所属感」において有意な改善を認め、主観的指標からも、ハンドマッサージの効果を明らかにすることができた。 夜間の芳香欲の効果については、客観的指標に用いたアクチグラフが装着できた対象者の人数が9名のうち4名しかおらず、評価に至らなかった。アクチグラフは、腕時計型で対象者に負担の少ない方法で、睡眠評価が可能な機器であるが、認知機能障害のある高齢者では、機器を装着することが困難なケースもあった。睡眠評価の方法を検討する必要性があった。 本研究結果については、平成25年開催の第18回老年看護学会学術集会で発表の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.芳香浴の実施と効果の検証 夜間帯の20時~4時までの8時間、対象者の好みに応じて、鎮静・入眠作用があるといわれる白檀またはラベンダーを用いた芳香浴を、拡散器(ディフューザー)を用いて、連続2週間実施する。介入の客観的評価は、介入前の2週間、介入期間中の2週間、眠りSCANを用い、睡眠覚醒リズム(パラマウントベッド株式会社製)の測定により行う。主観的評価には、対象者の認知機能に応じて、認知症高齢者の主観的QOL評価尺度(DQOL:Dementia Quality of Life Instrument)または、気分プロフィール検査(POMS:Profile of Mood States)を用い、介入開始前、介入終了後に聞き取り調査を行う。 2.香りを付加した頸部ホットパックの実施と効果の検証 就寝前の8時前後に、鎮静・入眠作用があるといわれるラベンダーの香りを付加した襟巻型ホットパックを頸部周囲に2週間装着する。介入の客観的評価は、介入前の2週間、介入期間中の2週間、眠りSCAN(パラマウントベッド株式会社製)を用い、睡眠覚醒リズムの測定により行う。主観的評価には、対象者の認知機能に応じて、認知症高齢者の主観的QOL評価尺度(DQOL:Dementia Quality of Life Instrument)または、気分プロフィール検査(POMS:Profile of Mood States)を用い、介入開始前、介入終了後に聞き取り調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.調査に関連する研究費使用計画 1)睡眠覚醒リズムの測定に使用する眠りSCANA(パラマウント株式会社製)本体及び解析ソフト約50万円 2)調査の実施、およびデータ解析、データ入力作業等の研究補助のための人件費として約30万円 3)アロマセラピーの実施に必要な消耗品、文献等10万円 2.成果発表に関する研究費使用計画 研究成果を国内外の学会で発表の予定であり、発表に関する経費(学会参加費、旅費、ポスター作製費等)に30万円を予定している。
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Research Products
(1 results)