2013 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者に対する補完代替療法として有効な看護介入モデルの開発
Project/Area Number |
23660101
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90382431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明時 由理子 佐賀大学, 医学部, 助教 (50612074)
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Keywords | 要介護高齢者 / 補完代替療法 / アロマセラピー |
Research Abstract |
本年度は、施設入所中の要介護高齢者に対し、アロマオイルを持ちいたハンドマッサージのリラクゼーション効果、香りを付加したネックピローの睡眠への効果について検証した。介入と評価の方法は、①1%濃度のラベンダーまたはイランイランオイルを付加したハンドマッサージを行い、マッサージは左右合計で14分間実施し、同時に芳香浴を実施した。評価指標として、客観的指標には唾液アミラーゼ活性値の測定、主観的指標にはD-QOLの測定と聞き取り調査を行った。②当初の計画であった蒸しタオル温浴に関しては保温効果や装着時間を考慮し、ラベンダーの香りを付加したホットネックピローの装着に変更した。評価指標には、眠りスキャン(マットレスの下に敷き臥床中の睡眠評価が可能な機器)を用い、夜間の睡眠・覚醒リズムを測定した。 介入の結果、対象者は10名、うち女性9名、平均年齢90.8歳、認知機能は10点未満の者が1名、10点~20点未満が6名、20点~26点が3名であった。芳香浴を併用したハンドマッサージにおいて、実施前後の唾液アミラーゼ活性値を比較した結果、実施前は平均115.6kIU/L、実施後は平均44.2kIU/Lと実施後に有意に低下した。主観的評価として、アロママッサージに対する聞き取り調査の結果では、全員が気持ちよい、また実施して欲しいなど肯定的な評価が得られた。D-QOLは介入前に比べて介入後に改善したが有意差はなかった。アロマの香りを付加したホットネックピローによる睡眠の効果は、対象者10名のうち6名は睡眠時間が延長し、残り4名は不変またはわずかに減少していたが、統計学的な有意差は認められなかった。 以上のことからアロマオイルを用いたハンドマッサージは、実施前後の唾液アミラーゼ値の変化から、認知機能障害がある要介護高齢者の補完代替療法として有用性のある看護介入である可能性が示唆された。
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