2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢患者の在宅退院時におけるIADL支援と在宅移行促進のための看護援助
Project/Area Number |
23660110
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
竹崎 久美子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (60197283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者 / 自宅退院 / IADL / 看護支援 |
Research Abstract |
本研究では、在院日数が益々短縮化される急性期病院において、健康状態の回復や手術などによる生活制限に不安を残しつつ自宅退院を余儀なくされている高齢患者が、退院後に経験している生活の不自由、すなわち食事の準備や掃除・洗濯、買い物、入浴などの準備といった、いわゆるIADLの不自由をどのように体験しているか、それをどのように工夫して生活復帰しているかを調査することを通して、退院時の生活指導や社会資源の紹介といった自立支援を促進する看護援助について提案することをめざしている。 初年度は、退院調整、退院時の課題分析、退院後の患者生活調査などについて文献検索を行うと共に、現行の介護保険において利用できる退院後の制度や社会サービスなどに関する勉強会を行った。自宅退院を可能にする要因としては、同居家族の有無や、近隣に親族や支援者がいる場合、あるいは本人の強い自宅退院希望がある等があることが明らかとなった。一方で、医療機関内に退院後のことについて調整や相談を行う部門がある場合、転院については積極的に情報提供があるが、自宅退院については、あまり具体的な情報提供や介入は少ないのではないかということも明らかとなった。自宅退院を考える患者・家族に対しては、あまり情報や支援の手が差し伸べられないままに自分たちで退院を考える必要があり、自宅での生活に不安を少しでも感じると、転院という形で施設ケアに頼らざるを得ない現状が確認できた。介護保険制度には、退院直後に対応するサービスもあるが、そうした情報、並びにその利用方法までは情報提供されず、知らされても結局その利用手続きなどは本人達だけに託されるため、実際に活用するには至れない現状であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度中に、協力病棟でのヒアリングを実施予定であったが、3月に実施できなかった。H24年度に挽回可能な範囲であるため、概ね計画通りと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、実際に自宅退院する高齢患者を紹介してもらい、研究協力を得て、退院後の生活状況について、追跡調査を行う。定期的な電話フォローや家庭訪問を行い、実際に体験する生活上の不自由やそれをどのように工夫してクリアしたか、その過程を参加観察する。この過程は、研究協力者を紹介してもらう病棟とも共有し、自宅での生活に関する助言を得ると共に、実際の生活復帰の課題について、情報提供し検討していく。 まずは数例を丁寧にフォローアップすることを通して、より実際的なデータを収集することをめざし、最終年度に於いて、高齢患者の自宅退院後のIADLを中心とした課題と、それに対する支援のあり方について検討し、退院指導や、退院後の社会資源紹介とその活用、あるいは新たなサービスの必要性などについて、提言を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
協力依頼と、退院前の病床訪問、退院後の家庭訪問といった交通費、協力病棟と定期的に情報共有を行うための会議費、研究協力に対する謝礼、活動に必要な物品費を主に使用予定である。
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