2013 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者のセルフスティグマとカミングアウトの心理学的関連モデルの構築
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23660116
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
永井 邦芳 豊橋創造大学, 保健医療学部, 准教授 (70402625)
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Keywords | 精神障害者 / カミングアウト / 地域生活 / エンパワメント / スティグマ |
Research Abstract |
平成25年度は、先行研究及び研究者自身が実施した質的研究から導き出された精神障害を持つ人のカミングアウトの心理的関連因子の仮説モデル(ソーシャルサポート、センスオブコヘランス(以下SOC)、スティグマ意識、エンパワメント)について自記式質問紙による横断的量的調査によって検証を行った。なお本調査にて使用したスティグマ意識を尋ねる質問項目については、この研究の一貫で実施した日本語版セルフスティグマ尺度の作成によって 信頼性妥当性を検証したもの(論文発表済み)から使用した。 研究協力を得ることができたのは3つの精神障害者デイケア施設に通所する計150名であった。150名中99名(72.8%)が統合失調症、21名が気分障害であった。全体の23%が無条件カミングアウト、38%が必要時積極的カミングアウト、33%ができるだけ隠す。9%がどのような場面でも隠し通すと回答があった。これらを積極的カミングアウト群と消極的カミングアウト群の2群に分け性別、年齢、就業等で比較した結果は有意差が認められなかったが、統合失調症群と気分障害群で検証したところ有意に統合失調症群の消極的カミングアウト率が高い結果が示された。心理的因子に関しては、スティグマ意識、SOCに関して2群間に有意差はなかったが、エンパワメント、カミングアウトに対する肯定的意識、ソーシャルサポート満足感のうち専門家からのサポートに対する満足感に有意差が認められた。 次に有意差の認められた項目について、積極的カミングアウトと消極的カミングアウトの2群んを従属変数としたロジスティック回帰分析により検証を行った結果、年齢、カミングアウトに対する有意味感、エンパワメントの項目がモデルとして残された。 これらの結果は学術集会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、当初H.25年度が終了年度であり、調査をまとめ学会発表した。この学会での意見交換をもとに再度分析の視点を変え再検証したいと考えた。また、さらに再検証の結果を含め、これまでの研究成果を論文という形でまとめたいと考えていたが、時間の都合上そこまで到達することがかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年として本研究の結果をまとめ上げ論文としたいと考えている。 またここまでの研究の結果を基に専門職者としてどのような形で精神障害を持ちながら地域生活を送っている人たちのカミングアウトという行動に対する支援の在り方について具体的方策も含めて関連専門職者間でディスカッションしていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ入力にかかる人件費が当初予想されたものよりかからなかったこと。また予定していた国際学会での発表において開催が近隣国であったため、旅費が低額で済んだことなどがその主な理由である。 今年度は、最終の研究成果を論文としてまとめ、学術誌に投稿したいと考えている。そのための英文校正、投稿料、それにかかる通信費などに使用したいと考えている。 その他、研究結果を基に専門職者による具体的支援策について会議を重ねたいと考えているため、それらの会議費に充てたいと考えている。
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