2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症状出現前の早期脳内変化を捉えるための近赤外線分光法による検査システムの開発
Project/Area Number |
23660125
|
Research Institution | Fukuoka College of Health Sciences |
Principal Investigator |
大倉 義文 福岡医療短期大学, 保健福祉学科, 教授 (80352293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力丸 哲也 福岡医療短期大学, その他部局等, 准教授 (10299589)
|
Keywords | 認知機能 / 脳内変化 / 近赤外線分光法 |
Research Abstract |
前年度(平成24年度)の研究成果に基づき、4つの非学習系課題(三叉神経を介する口腔内ブラッシング刺激、視神経を介在すると考えられる光関連刺激、嗅神経とTRPM8受容体を介するミント系嗅覚刺激と味覚刺激の相乗作用、口腔粘膜と頬部皮膚面における寒冷感覚刺激)による大脳前頭前野の血流増加現象について、若年・壮年健常者において再現性の確認と検証を進めた。さらに、学習系課題(反復単純計算)による血流増加をPositive controlとして比較・解析に用いることで、有意な血流変化を示す機能局在部位の中で、前頭前野腹外側領域(VL-PFC)と前頭前野背外側領域(DL-PFC)内のワーキングメモリーの領域を同定できた。さらに、同部位における有意な血流変化について、①Vmax (mM・mm) = The maximum blood-flow valueと②A task (mM・mm・sec) = Area of the increase in blood flow during task (from 0 sec to 60 sec)の2つの検定指標(パラメーター)を用いて検討・解析した。 その成果の一部を、平成25年6月に京都で開催された学術集会「Neuro2013」において発表し(演題名: The Evaluation of the Effect of Tooth brushing on the Activity of Prefrontal Cortex in Young Adult Subjects.)、同演題の質疑応答を通じて新たなデータ解釈と研究の方向性についてのアイデアが得られた。さらに、第37回日本神経科学大会(平成26年9月にパシフィコ横浜で開催予定)における発表演題として、口腔内寒冷感覚刺激による大脳前頭前野の活性化についての新たな知見を取りまとめることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的である認知症状出現前の早期脳内変化を捉える検査システムの開発において、各種脳神経刺激を介して大脳前頭前野領域の有意な活動変化を学習系課題と同程度に引き起こす非学習系課題候補の同定と解析は、本萌芽研究の研究成果につなげる大切なステップである。 大脳前頭前野領域の有意な活動変化を引き起こす非学習系課題として、三叉神経を介する口腔内ブラッシング刺激と口腔粘膜における寒冷感覚刺激により、前頭前野機能局在部位である腹外側領域(VL-PFC)と背外側領域(DL-PFC)内のワーキングメモリーの領域において有意な血流変化が引き起こされることを見出した。さらに、①Vmax (mM・mm) = The maximum blood-flow valueと②A task (mM・mm・sec) = Area of the increase in blood flow during task (from 0 sec to 60 sec)の2つの検定指標(パラメーター)を用いることにより血流変化の有意差を検出できることを確認した。 その成果の一部を、平成25年6月に京都で開催された学術集会「Neuro2013」において発表するとともに、同演題の質疑応答を通じて新たなデータ解釈と研究の方向性についてのアイデアが得られた。さらに、口腔内寒冷感覚刺激による大脳前頭前野の活性化についても新たな知見を取りまとめることができ、第37回日本神経科学大会(平成26年9月にパシフィコ横浜で開催予定)において発表する予定である。 さらに、上記の研究成果の他に、他の脳神経を介する大脳前頭前野活性化に関する新たな知見が得られており、その詳細な解析を進めていくために、補助事業期間延長を承認してもらい、検査システムの開発を最終目的とした萌芽研究としておおむね順調に進展していると自己評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果として得られた、1)口腔内ブラッシング刺激による大脳前頭前野の活性化に関する知見は、日本老年歯科医学会の学会誌である『老年歯科医学』へ論文投稿することで、学術論文としての研究成果を残したい。また、2)口腔内寒冷感覚刺激による大脳前頭前野の活性化に関する新たな知見について、第37回日本神経科学大会(平成26年9月にパシフィコ横浜で開催予定)における演題発表の後に、日本神経科学学会の学会誌である『Neuroscience Research』(Impact Factor = 2.25)への論文投稿のために執筆活動を進める。3)嗅神経とTRPM8受容体を介するミント系感覚刺激に関する知見については、平成26年11月に米国ワシントンにおいて開催予定の「Neuroscience 2014」への投稿準備を進めている。4)光関連刺激については、現時点では、近赤外線分光法(NIRS)による検査システムとして活用できる最有力の非学習系課題候補であると考えている。近赤外線分光法(NIRS)による再現性の検証、学会発表と学術論文の執筆のみならず、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)等のNIRS以外の非侵襲脳機能計測法における解析についても積極的に検討し研究を進めてゆく。 さらに精度の高い検査システムの開発を目的として、高齢者を対象とする大脳前頭前野の活性化に関する新たな臨床研究や関連学会参加による新たな学術知見の獲得、論文執筆活動を平成26年度に進め、最終年次の研究成果につなげる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の研究成果として得られた口腔内ブラッシング刺激と口腔内寒冷感覚刺激による大脳前頭前野の活性化に関する知見の他に、他の脳神経刺激を介する大脳前頭前野の活性化に関する新たな知見が得られている。さらに精度の高い検査システムの開発をめざし、大脳前頭前野領域の有意な活動変化を引き起こす新たな非学習系課題の同定と詳細な解析を進めるために、未使用額が生じた。 当該年度の研究成果である口腔内ブラッシング刺激と口腔内寒冷感覚刺激による大脳前頭前野の活性化に関する新たな知見について、関連学会における演題発表や日本神経科学学会の学会誌である『Neuroscience Research』(Impact Factor = 2.25)への論文投稿に研究費を活用する。また、嗅神経とTRPM8受容体を介するミント系感覚刺激による大脳前頭前野活性化に関する知見について、平成26年11月に米国ワシントンで開催予定の国際学会「Neuroscience 2014」において研究成果を発表するために研究費を活用する。さらに、高齢者を対象とする大脳前頭前野の活性化に関する新たな臨床研究と論文執筆活動を進めるために、研究費を有効に活用することで本課題研究の推進につなげたい。
|