2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代オンデマンド型視聴形態のためのコンテンツ配信方式
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23680007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
義久 智樹 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00402743)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インターネット高度化 / 衛星通信・放送 / 情報システム / ビデオオンデマンド / ストリーミング |
Outline of Annual Research Achievements |
設計したコンテンツ配信手法の性能を調査するため、開発した調査用シミュレータで事前調査を行っていたところ、配信環境によって性能が極端に異なるという新たな知見の発見があった。研究遂行上この現象の本質を見極めることは重要であるため、事前調査結果を解析してコンテンツ配信手法を見直したうえで事前調査をやり直した。結果、当初の計画以上の進展が得られた。 項目1)放送側のコンテンツ配信戦略:放送側のコンテンツ配信戦略として、本研究では分割放送技術を用いる。分割放送では、コンテンツのデータを幾つかの部分(ブロック)に分割して放送する。本研究では、これまでの手法に加えてさらに、幾つかのブロックをまとめて放送する手法を考案した。コンピュータシミュレーションにより提案手法の評価を行い、配信環境に適応して、既存手法よりも再生中断時間を短縮できることを確認した。 項目2)通信側のコンテンツ配信戦略:通信側のコンテンツ配信戦略として、本研究では端末伝送技術を用いる。端末伝送では、既にコンテンツの再生を開始している他の再生端末からデータの一部を受信することで、再生中断時間を短縮できる。本研究では、これまでの手法に加えてさらに、複数のサーバからブロックを受信する手法を提案した。コンピュータシミュレーション評価の結果、複数のサーバを用いることで、単一のサーバから受信している場合と比べて再生中断時間を短縮できることを確認した。 項目3)放送側と通信側のコンテンツ配信状況を考慮した戦略:放送側と通信側のコンテンツ配信状況を考慮した戦略として、本研究ではピース除去技術を用いる。ピース除去では、通信側で受信できるピースの一部を放送スケジュールから除去することで再生中断時間をさらに短縮できる。除去しすぎると再生中断時間が増加するため、本研究では、再生中断時間を効率的に短縮できるピースの除去方法を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、コンテンツ配信中に配信環境が大きく変わらない状況を想定していたが、開発した調査用シミュレータで事前調査を行っていたところ、配信環境によって性能が極端に異なるという新たな知見の発見があった。事前調査結果を解析してコンテンツ配信手法を見直したところ、研究が予想以上に進展し、放送帯域や通信帯域といった配信環境が変化する状況に適応して再生中断時間を短縮する手法の提案に至った。さらに、映像コンテンツのみを対象として再生中断時間を短縮する計画であったが、研究が予想以上に進展し、映像コンテンツだけでなく温度コンテンツや湿度コンテンツといったセンサコンテンツの配信にも応用できる手法の提案に至った。センサコンテンツの配信手法では、複数の端末に配信する場合、配信にかかる遅延時間を短縮するだけでなく、配信に伴う負荷を公平化することにも成功している。これらの理由から、本研究は当初の計画以上に進展しているといえる。 研究代表者らが、国内の100人規模のワークショップである情報処理学会マルチメディア通信と分散処理ワークショップ(DPSWS2013)において本研究成果を発表したところ、研究成果は特に優秀と認められ、優秀論文賞を受賞するに至っている。また、本研究成果を活用したシステムに関する論文が、より多くの研究者が参照すべき論文として認められ、情報処理学会論文誌「ネットワークサービスと分散処理」特集号特選論文賞を受賞している。さらに、国際論文誌に採択された本研究に関する論文がHighly Commended Paper Awardを受賞しており、本研究は、今後の発展も期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
項目1に関して、本研究ではこれまでに、再生端末のデータ受信状況を考慮して放送スケジュールを動的に作成する手法や、複数のブロックをまとめて放送手法を提案してきた。まとめて放送している間に、再生端末の受信済みデータが同じになって、複数の再生端末が未受信のブロックを放送できて、放送の利点を活用できる。しかし、再生端末が放送を受信できなくなると、再生するデータがなくなって、長時間の再生中断時間が発生することがある。そこで今後は、再生端末が放送を受信できなくなっても再生を続けられるように、あらかじめデータを配信しておく手法等を考案する。 項目2に関して、通信から受信しなければ再生中断が発生する再生端末のみ通信からブロックを受信する手法や複数のサーバからブロックを受信する手法を提案してきた。さらに、複数のサーバからブロックを受信することで、サーバにかかっていた通信負荷を分散させ、ブロックを速く受信できる。しかし、サーバへの通信負荷に偏りが生じると、再生端末あたりに費やせる通信帯域が小さくなって配信に時間がかかることがある。そこで今後は、サーバの通信負荷を公平化する手法を考案する。 項目3に関して、再生中断時間を効率的に短縮できるピースの除去方法を明らかにしてきた。通信側で受信できるピースの一部を放送スケジュールから除去することで再生中断時間をさらに短縮できる。しかし、映像コンテンツの重要シーンや、センサコンテンツの特徴的なデータなど、除去に適していないピースがある。そこで今後は、除去できるピースのみ除去して再生中断時間を短縮する手法を明らかにする。
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Research Products
(19 results)