2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケア・レシーバー型ロボットを用いた子どもの教育支援
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23680020
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 文英 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50512787)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物理エージェント / 教育支援ロボット / 人間-ロボット間インタラクション / ケア・レシーバー型ロボット |
Research Abstract |
研究実施計画通り順調に進んでいる。実施計画に記載した二つの目標の内、(1)CRRの適切な学習ダイナミクスの研究については、茨城県つくば市にある子ども向け英会話教室にて三種類の学習ダイナミクスを有するCRRの比較実験を行った。ここではCRRの学習ダイナミクスをタスク習得に要する被教示回数と定義し、三種類の被教示回数を持つCRRを実装した上でその比較実験を行った。続いて(2)CRRが有効に働く教育タスクの同定に関しては、教室でのフィールド観察や現場の教師へのインタビューなどに基づき、英単語学習のみならず図形の描き方の学習などの新たなタスクニーズを発掘し、同タスクへのCRR導入の有効性を確かめた。実験では〇△□などシンプルな図形描写を課題としたが、同じ方法はアルファベットの学習などの問題にもそのまま適用が可能である。 これらの研究活動から、図形学習や英単語学習にはロボットによる正答提示が有効であること、同時に、子どもたちの学習への興味や自発性を誘引し自らの回答に自信を持たせるためにはロボットへの教示が有効であることが判明した。これらの実験結果は、CRRを用いた教育支援においては正答提示と直接教示の双方による利点をバランス良く含んだロボットおよびインタラクションの設計が重要であることを示唆している。とくに年少の子どもの場合、単にポストテストの点数のみによる評価では不十分であり、学習への興味の持続、自発性や自信といった要素も重要な観点である。 これらの研究成果は、人間-ロボット間インタラクションの国際会議であるIEEE RO-MANにて論文発表し、さらには人工知能学会論文誌にもフルペーパーとして採択された。併せて、昨年度に投稿していた当該分野の最主要国際雑誌であるJournal of Human-Robot Interactionへの論文も採択され、出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画における平成24年度までの目標はおおむね達成され、すでに当初計画における平成25年度の内容まで研究が行われ始めている。一例として、教育心理学に基づくCRRの検証実験は平成25年度の計画であったが、これはすでに実施され、統計分析に基づく定量的な検証まで行われている。 同時に、研究成果(業績)面でも、これまでに得られた知見・実験結果等が国内外の主要雑誌に採択されている。この内、Journal of Human-Robot Interactionは、当該分野における世界の最主要国際雑誌であり、とくに高く評価できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が予定を上回る速度で進んでいるため、当初研究目的に無かった課題も取り入れながら、さらに精力的に研究を進めていく。 とくに、当初計画ではCRR(Care-Receiving Robot)開発はオペレータ遠隔操作による方法を中心に考えていたが、将来的な波及効果もふまえて、自律型のCRR開発も新たに取り入れて研究を進めていくことにする。Aldebaran Robotics社から提供されている認識技術ライブラリ等を用いることによってスピーディに開発を進め、本研究の主眼となる要素の実験に注力していく。さらには、実験フィールドについても、これまでよりも統制の少ない場面(例えば子どもが集団で存在する幼稚園の教室空間など)への挑戦も開始する。
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Research Products
(7 results)