2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者転倒抑制のための足底触覚感度強化と足底皮膚変形計測による転倒歩行モデリング
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23680022
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
竹村 裕 東京理科大学, 理学部, 講師 (60408713)
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Keywords | 転倒予防 / 歩行モデリング / 確立共鳴 / 歩行解析 |
Research Abstract |
本研究では,高齢者転倒抑制のために足底触覚情報処理と歩行動作との関係に着目し,足底触覚刺激の積極的利用により転倒抑制の可能性の検討と歩行時足底皮膚変形計測による不安定歩行の革新的スクリーニング手法の開発を目指している.研究実施初年度の主な目的は,(1)立共鳴を利用したノイズ発生装置により足底触覚感度強化に対する基本的な考え方を検証するとともに,(2)次年度以降の振動刺激装置内蔵シューズの開発に利用する基礎データの蓄積と,これまでの問題点を解消する(3)マーカーレス足底皮膚変形計測手法の開発である.具体的には以下のように実施した. (1)足底触覚感度強化のための確立共鳴を利用したノイズ発生装置試作:2種類のピエゾアクチュエータによるノイズ発生装置を試作し,確立共鳴理論を利用した足底触角感度強化実験を実施した.健常若年者10人による被験者実験の結果,開発した装置での足底触角感度が向上するという知見を得え,基本的な考え方を実証した. (2)刺激部位・周波数・量に伴う触覚感度変化の基礎データ収集:刺激を与える部位,周波数,ノイズ強度を変化し,基礎データの収集を行った.試作したノイズ発生装置により直接足底部に刺激を与えるのではなく,離れた部位にノイズを与えた場合にでも足底触角感度が向上されるという新たな知見を得た.これにより,直接足底にノイズを与える必要が無くなり,今後開発予定の振動刺激装置内蔵シューズの設計方針への影響が期待できる. (3)マーカーレス足底皮膚変形計測手法の開発:Harrisコーナー検出手法とKTL追跡手法を組み合わせた特徴点検出・追跡手法を応用して,足底接触面皮膚変形手法を開発した.これにより,これまで計測の準備や片付けに時間がかかり被験者を集めずらい上に計測精度がマーカーに依存するという欠点が解消され,素足のままの状態で被験者の歩行中の足底接触面皮膚変形の計測が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に計画した主な目的は3つあり,下記のとおりほぼ達成できたため. (1)刺激により足底触角感度が強化されるという基本的な考え方を実証した. (2)足底を直接刺激せずとも,別の部位への刺激により足底触角感度が向上するという新たな知見を得ることができ,研究計画以上に進展した. (3)特徴点抽出・追跡手法に関しては,多少制度に難があるが,おおむね手法の開発を終わり,今後精度向上を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度の研究で振動刺激により足底触角感度が向上するという知見が得られた.今後は,まず静止立位バランス制御実験で足底触角感度向上によるバランス制御への影響を調査する.クッションなどで不安定立位面を再現し,足底触角が優位に影響する状況を作り被験者実験により触角感度向上の静止立位バランスへの影響を明らかにする.また,同時に試作したノイズ発生装置の小型軽量化を進める. 足底皮膚変形計測のための特徴点抽出・追跡手法に関しては,まず,より鮮明な画像な撮影を可能とするために,照明条件を再検討する.次に,他の特徴点抽出の手法の導入も検討し,全体として精度向上を試みる.さらに,被験者実験を実施し,不安定歩行と足底接触面皮膚変形の関係性を探る.
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