2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者転倒抑制のための足底触覚感度強化と足底皮膚変形計測による転倒歩行モデリング
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23680022
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
竹村 裕 東京理科大学, 理工学部, 講師 (60408713)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 転倒予防 / 歩行モデリング / 確立共鳴 / 歩行解析 |
Research Abstract |
本研究では,高齢者転倒抑制のために足底触覚情報処理と歩行動作との関係に着目し,足底触覚刺激の積極的利用により転倒抑制の可能性の検討と歩行時足底皮膚変形計測による不安定歩行の革新的スクリーニング手法の開発を目指している.研究二年目の主な目的は,研究初年度で振動刺激により足底触角感度が向上するという知見を基に,(1)静止立位バランス制御実験で足底触角感度向上によるバランス制御への影響を調査するとともに,(2)ノイズ発生装置の小型軽量化である.また,研究初年度で開発した(3)マーカーレス足底皮膚変形計測手法の精度向上と(4)被験者実験により不安定歩行と足底接触面皮膚変形の関係性を探ることである.具体的には以下のように実施した. (1)静止立位バランス制御実験で足底触角感度向上によるバランス制御への影響: クッションで不安定立位面を模擬し,足底触角が優位に影響する状況を再現し,健常若齢者11名と健常高齢者21名により被験者実験を実施し,触角感度向上の静止立位バランスへの影響を計測した.実験結果より,開発した振動装置により若齢者,高齢者ともに静止立位バランスが向上することを実証した. (2)振動装置の小型軽量化: ピエゾブザーを利用した小型ノイズ発生装置の試作した.歩行動作での実験に利用するためにノイズ発生装置のウエアラブル化も既に実現し,今後歩行動作計測実験に利用する. (3)マーカーレス足底皮膚変形計測手法の精度向上: 足裏の鮮明な画像な撮影を可能とするために,照明条件を再検討し,既存の装置より遥かに高精度で歩行時に足底皮膚変形を計測可能となった. (4)被験者実験により不安定歩行と足底接触面皮膚変形の関係性:健常若年者,健常高齢者の歩行時の足底接触面皮膚変形を計測し,データの蓄積を行った.計測結果から,健常若齢者と健康高齢者の足底接触面皮膚変形には特徴的な違いがあることを発見した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究二年目に計画した主な目的は4つあり,下記のとおりほぼ達成できたため. (1)健常若齢者,健常高齢者での静止立位バランス制御実験を実施し,振動刺激により静止立位バランス能力が向上することを実証した. (2)ノイズ発生装置の小型軽量化を実施し,ウエアラブル化に成功したため,次年度に歩行バランスし制御実験が実現可能である. (3)光学的条件を再検討することにより,マーカーレス足底皮膚変形計測手法の精度向上を実現し,健常若齢者と健常高齢者の歩行時の足底皮膚変形を計測し,データを蓄積した.さらに,連続して足底皮膚変形が計測可能な透明トレッドミルの開発を実施した. (4)計測した健常若齢者と健康高齢者の足底接触面皮膚変形には特徴的な違いがあることを発見した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年目の研究で振動刺激により静止立位バランス能力が向上することが,被験者実験により実証した.今後は,歩行動作のバランス制御への影響を調査する.ブロックなどで凹凸路面を再現し,足底触角が優位に影響する状況を作り被験者実験により振動刺激の歩行動作安定性への影響を明らかにする.試作した小型ノイズ発生装置の出力不足が原因で,全く振動を検知できない被験者も存在した.今後はノイズ発生装置の振動強度の調整幅を広げ,幅広い被験者に対応できるように研究開発を進めていく. 足底皮膚変形計測のための特徴点抽出・追跡手法に関しては,被験者に足底触覚を鈍化,片側加重負荷歩行,関節固定などの不安定歩行状態での歩行計測と,高齢者の歩行計測を実施し,データの蓄積し,不安定歩行と足底接触面皮膚変形の関係性を探る.
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