2011 Fiscal Year Annual Research Report
体組織液・爪・毛髪由来の生化学物質による心的ストレス評価
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23680023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
野村 収作 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 産学融合特任准教授 (80362911)
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Keywords | ストレス / 感性生理学 / 感性情報学 / 実験系心理学 / 精神神経内分泌学 / 精神神経免疫学 |
Research Abstract |
本研究の目的は唾液・体組織液・爪・毛髪などに含まれるホルモン等により、長期にわたる心的ストレスを評価する方法論を開発することにある。人間がストレスに曝されると体内に特定のホルモン・免疫物資等の過剰分泌が生じることが知られている。研究代表者はこれまで、唾液中に分泌されるホルモン等によるストレスの評価研究を行ってきた。本研究はこれを発展させ、体組織液・爪・毛髪などの検体による、より汎用的なストレスの客観的評価手法を研究する。本研究は研究期間全体を通じて(1)体組織液・爪・毛髪からのバイオマーカー抽出技術の確立、(2)実験研究による各バイオマーカーの有効性・適用可能範囲の評価、(3)フィールド調査研究によるフィージビリティ・スタディ、の各段階により研究を遂行する計画である。精神的なストレスを物質的に評価するという本研究領域は、分子分析技術の発展を背景として急速に発展している。現在は唾液を検体とした分析が主流であり、爪・毛髪からの抽出は世界でもまだ少数の研究事例しか報告されていない。しかしながら、医学領域においても血液検査を必要としない肉体的疾患の検査技術が日々進歩しており、アンビエント生体計測を含めた"365日健康診断"に向けた技術的背景は整いつつある。したがって、今現在から科学的根拠に基づくフィージビリティ研究を行い、世界に先駆けて各検体によるストレス評価技術を標準化し、その有効性と限界を精査する意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度(初年度)の研究においては,体組織液・爪・毛髪より夫々,ストレス関連ホルモンであるコルチゾール,DHEA,DHEA-S,テストステロンの定量プロトコルを確立することができた.特にテストステロンについては各検体においても世界初の成果であり,またDHEA,DHEA-Sについても毛髪・体組織液においては世界初の成果である.さらに,コルチゾールの定量プロトコルにおいては,従来は,毛髪が数百本以上必要であったが,これを大幅に改善し,10本程度でも定量可能となる手法を開発した.また,体組織液と唾液より定量した起床時のコルチゾール分泌反応において,統計的に有意な(p<0.01)相関関係を見出した.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に得られた結果に基づき,本年度は体組織液中のストレス関連ホルモンにおける短期ストレス反応の検証,また毛髪・爪検体中のストレス関連ホルモンに関しては,測定技術の信頼性、定量の再現性(例えば検体採取部位による差異や数日後の値との比較)、性差・個人差の範囲などを検証する。
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Research Products
(14 results)