2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23680025
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
後藤 玲子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (10375355)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子行政 / 公共IT投資 / 業務の標準化 / 効果測定方法 / 費用対効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公共IT投資の費用対効果を高めるための方策を実証的に明らかにすることを目的としている。平成26年度は、第1に、業務の標準化の効果測定方法について理論的に整理した。公共IT投資の費用対効果を高めるためには、公共IT投資の費用と効果を可視化し、測定評価することが必要である。しかし実際には、公共IT投資の効果(アウトカム)が適切に測定評価されることは多くない。そのため、マイナンバーへの対応や自治体クラウドの導入に不可欠な「業務の標準化」の「効果」測定方法について、社会調査法及び政策評価法の観点から理論的に整理した。第2に、日本の年齢別有障害率を推計した。本研究では、障がい者への行政情報の提供とそこでのICTの利活用について、現状を評価し改善案を検討することを計画しているが、日本には、障がい者の権利が守られているかどうかを評価したり、様々な環境で暮らす障害者と非障害者との間の格差や、障害者同士の間の格差を測定するための基礎的データが十分には整っていない。そもそも、障害者数さえも政府の公式統計から直ちに得ることはできない。そのため、政府統計調査を二次分析し、日本の年齢別有障害率を推計した。第3に、基礎的自治体によるICTを利活用した情報発信について、文献調査及び聞き取り調査によって国内外の事例を収集し整理するとともに、来年度(平成27年度)に大規模な調査票調査を実施するために、某自治体と協力関係を築き、住民ニーズをどのように把握しているか等について聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、生活支援分野での行政情報の共有とそこでのICTの利活用に関する調査研究に着手し、文献調査とヒアリング調査により、誰が何を必要としているのか、現状の課題は何かといった基礎的事項を明らかにした。障がい者就労分野に焦点を当てる予定であったが、有障害率の推計作業を行ったため、当該分野について詳しく調査することはできなかった。しかし、生活支援分野一般に関する調査研究は当初の計画以上に進展し、某自治体と密接な協力関係を築き、平成27年度前半に大規模な調査票調査を実施し、その結果を平成28年度の当該自治体の施策に反映していただけることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に引き続き某自治体と協力しながら、行政によるICTを用いた広報広聴活動の実態、課題、住民ニーズ、住民の期待と現実のギャップ等を明らかにするため、一般住民向けの調査票調査及び聞き取り調査並びに自治体職員に対する聞き取り調査を行う。また、特別なニーズをもつ方々の行政情報に関するニーズや、若者の行政SNSに対するニーズを明らかにするための追加調査について企画し、予備調査に着手する。加えて、平成26年度に行った有障害率の推計に関する論文をできるだけ速やかに公表する。 平成28年度以降は、特別なニーズをもつ方々の行政情報へのニーズ等に関する予備調査の結果を踏まえて、本格調査を実施すると共に、本調査研究を総括する。
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Research Products
(1 results)