2011 Fiscal Year Annual Research Report
視聴覚コミュニケーションの社会的機能と進化:歌鳥を用いた比較認知アプローチ
Project/Area Number |
23680027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相馬 雅代 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00578875)
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Keywords | 歌鳥 / 求愛 / ディスプレイ / 発達 / コミュニケーション / 社会性 |
Research Abstract |
鳥類や霊長類の高度な社会性は,複雑なコミュニケーションによって担われている.特にヒトや歌鳥においては,発声学習能力によって多様な情報が音信号にコードされる一方で,身体の動きや色・形といった視覚信号も情報伝達に大きく寄与している.本研究では,ブンチョウやジュウシマツのような歌鳥をモデルに用い,雌雄間・つがい間・親子間で交わされるコミュニケーション行動の機能と個体発達を包括的に検討することで,社会性がもたらすコミュニケーション行動の意義を明らかにしようとしている. 研究初年度である本年度は,特にブンチョウの求愛ディスプレイ行動の発達に間して,視聴覚形質の両面から検討を行った.ブンチョウの近縁種であるジュウシマツやキンカチョウでは,歌学習がよく研究されており,子は父親から発声を学ぶことが分かっている.ブンチョウではこれらの鳥種とほぼ同様に,社会要因が学習先選択の鍵となっていることが明らかになった.また,ジュウシマツやキンカチョウでは歌学習がよく研究されているにも関わらず歌と同期して表出される求愛ダンスの発達はほとんど研究がなされていない.今回ブンチョウに関して明らかになったのは,繁殖年齢に満たない歌学習期の幼鳥が求愛ダンスを表出する,ということである.このことは,発声のみならず身体運動を介したコミュニケーション行動にも発達要因が大きく寄与している可能性を示唆している. 以上の知見に関しては,いずれもサンプル数を加えつつ,定量的解析を今後も継続して行い以降の研究につなげる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と実施順序が前後している実験項目はあるものの,全体としてみれば進行状況に問題はない.交付金の時期が遅くなったことで,実験遂行に多少の支障がでたものの,大きな影響を生じさせないよう対応できた.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗に伴ってデータが蓄積されてきたため,解析作業量が大きくなりつつある.これを,作業委託や自動化などを通じてできるだけ効率的に処理し,成果発表につなげたい.
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