2011 Fiscal Year Annual Research Report
間隔時間知覚の脳神経機構の解明:知覚学習によるアプローチ
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23680028
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
四本 裕子 慶應義塾大学, 社会学研究科, 准教授 (80580927)
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Keywords | 時間 / 知覚 / 知覚学習 / 脳機能イメージング / 部頭蓋磁気刺激 |
Research Abstract |
時間の知覚には、人間の脳内での情報処理の時間特性が反映される。本研究では、知覚学習課題や脳機能イメージングを用いて、人間の情報処理の時間的特性について検証することを目的とした。まず、fMRIを用い、フラッシュ刺激が短時間に提示された視覚情報処理の特性と、それに関わる脳神経の解剖的特徴を検証した。知覚学習前後で関連部位の活動量が変化するだけでなく、脳神経繊維の密度等の脳の形質も変化することを見いだした。次に、視覚情報処理において、形状知覚と運動知覚の時間的特性の違いや相互作用を、fMRIと経頭蓋磁気刺激を用いた行動実験により検証した。形状知覚と運動知覚に関連する脳の部位をfMRIで特定し、その一部を経頭蓋磁気刺激で様々なタイミングにおいて一時的に抑制させ、形状や運動の知覚が情報入力後のいかなるタイミングでおこなわれ、また両者間にいかなる時間的な相互作用や補完作用があるかを検討した。その過程において、欧米でおこなわれた脳科学研究で報告されている人間の脳の特定部位の位置と、我々の研究で測定した日本人(アジア人)の特定部位の位置に有為な差があることを見いだした。また、視覚情報と聴覚情報の統合における時間的ずれの効果を検証するための実験刺激を作成し、その過程において新しい錯視現象を発見して発表した。情報処理の時間特性に注目しておこなったこれら一連の初年度の研究をもとに、より高次の知覚や認知における処理の時間特性と知覚・認識される時間についてさらなる検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は、80セッションのfMRI実験、90セッションの経頭蓋磁気刺激実験、140セッション以上の行動実験を行った。得られたデータを元に複数の学会発表をおこない、研究結果を1報の学術雑誌に投稿中、さらに3報の学術論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
所属元の研究用fMRI機が平成24年度以降使用不可能となったため、今後は脳機能イメージングではなく行動実験、脳波計および経頭蓋磁気刺激を用いて脳内情報処理の時間特性についての研究を進める。特に、初年度の研究成果を応用する形で視覚情報と聴覚情報の統合の時間的特性に関する研究を推進する。
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Research Products
(10 results)