2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳形態形成を制御するダブルコルチンファミリーの作動機序の解明
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23680035
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
古泉 博之 (財団法人)大阪バイオサイエンス研究所, 神経細胞生物学部門, 研究員 (10334335)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 大脳皮質発生 / 神経回路形成 / 神経突起伸長 / 微小管 / 微小管結合蛋白質 / キナーゼ |
Research Abstract |
ヒトにおいてダブルコルチン(DCX)の変異は発生期に大脳皮質の神経細胞層構築異常を引き起こし、患者はてんかん症状を伴う。Dcxのファミリー遺伝子であるダブルコルチン様キナーゼDclk1,Dclk2はDcxと協調的に神経細胞の移動や軸索伸長、樹状突起形成において機能している。本研究では、脳形態形成におけるDCXファミリーのより詳細な分子、細胞メカニズムを解明するために、微小管結合及び微小管骨格制御に関わるDCXドメインにさらに機能未知のプロテインキナーゼ部位をあわせ持つDCLK1/2に注目し、その基質の探索を行った。 DCLK1の結合タンパク質の網羅的同定を行い、複数の結合タンパク質のうち微小管に関与する蛋白質に注目し、MAP7D1(micrtotubule-associate dprotein 7 domain containing 1)がin vitroにおいてDCLK1の新規基質であることを見出した。さらにDCLK1はMAP7D1のSer315をリン酸化することを見出した。リン酸化抗体を作製し、現在DCLK1欠損マウスも用いて、vivoでのリン酸化MAP7D1の動態を解析中である。 また大脳皮質神経細胞においてMAP7D1のノックダウンを行うと、DCLK1のノックダウンと同様、神経突起伸長が抑制されたことから、現在DCLK1によるリン酸化が突起伸長に関与するかを解析中である。 また更なる基質の同定を目指し、Dclk1/Dclk2ダブル欠損マウスを作製した。このマウスを用いてDclk1/Dclk2ダブル欠損神経細胞を初代培養し、質量分析用いてDCLK1/2の基質タンパク質の網羅的同定を行う。これらの研究成果は、脳の発生過程の分子メカニズムを明らかにするだけでなく、てんかん発症の要因を考える上で重要な情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経細胞の形態形成にかかわるDCLK1のこれまで機能の分かっていなかったプロテインキナーゼ部位の新規基質MAP7D1を同定し、その基質が神経突起伸展にかかわることから、キナーゼ部位も脳の発生に重要な役割を持つことを初めて示したという点で評価できる。またDCLK1の結合タンパク質のリストを得ており、さらに詳細な分子機構を考える上での有用な情報を得ているという点で評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
更なるDCLK1/2の基質の同定を目指し、Dclk1、/Dclk2ダブル欠損マウスを作製した。今後はこのマウスを用いてDclk1/Dclk2ダブル欠損神経細胞を初代培養し、質量分析用いてDCLK1/2の基質タンパク質の網羅的同定を行う。さらにDCLK1/2の神経細胞移動、軸索伸長、樹状突起形成それぞれに関わるシグナル伝達を明らかにする。
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Research Products
(3 results)