2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成を制御する新規カルシウム依存的リン酸化シグナリング機構の解明
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23680040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹本‐木村 さやか 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70372365)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経回路 / カルシウム / CaMK |
Research Abstract |
本研究は、Ca2+依存的な神経回路形成過程を、カルシウム依存的リン酸化酵素(CaMK)I経路が制御するという可能性に着眼し、多彩な刺激によって惹起される細胞内Ca2+上昇が、如何にして細胞を変化させ、応変かつ柔軟な回路装飾を行うのか、新規の神経回路形成機構を解明することを目指している。この目的を達成するために、H24年度は下記の項目についての研究を実施した。 ① CaMKIファミリーに属する複数のコンディショナルノックアウトラインの作出を推進し、Creリコンビナーゼを、プラスミドならびにAAVウイルスを用いて、胎児脳または成体脳に導入することで、確かに標的領域においてDNA組み換えが起き、遺伝子を欠失させることが可能であることを確認した。 ② 上記コンディショナル系統を用いて、時期特異的なノックアウトを、細胞種選択的に行い、カルシウム依存的リン酸化酵素(CaMK)Iの関与する新たな表現系を見出し、詳細検討を行った。 ③ ②に関わる表現系の詳細を、スライス培養にて検討する実験系の確立を行った。 ④ 昨年度に引き続き、神経回路形成中の神経細胞における自発的なCa2+上昇を観察するための実験系の確立を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、これまで順調に樹立が進んだコンディショナルノックアウトマウスを用いて、実際にどのような神経回路形成に、CaMKIファミリーが関与するのか、時期特異的なコンディショナルノックアウトにより検討し、新たな表現系を見出すという、研究課題全体の進展に大きく影響を与える結果を得ることができた。 また、検出が難しいと言われる、神経回路形成中の神経細胞における自発的なCa2+上昇についても、安定した計測が可能となり、新規表現系とCa2+上昇との関連を検討するための実験系を順調に確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
CaMKIファミリーが関与する新規表現系の同定・詳細解析に並行し、今後は分散培養や、スライス培養を用いて、見出した表現系を引き起こす、細胞・分子機構の解明を推進する計画である。 具体的には、CaMKIの上流、下流で神経細胞形態制御に関わる細胞・分子機構の探索を進める。特に、これまでの研究で、CaMKIが影響を与えることを見出している、アクチン細胞骨格制御に関わるシグナリングネットワークに焦点を当てた検討をすすめる計画である。また、精製リン酸化酵素を用いたin vitroにおける基質候補の探索を並行して進めることで、分子機構の解明を推進する。
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