2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23680044
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
風間 北斗 独立行政法人理化学研究所, 知覚神経回路機構研究チーム, チームリーダー (90546574)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 記憶 / 嗅覚情報処理 / カルシウムイメージング / 光遺伝学 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
より効率よく強固な匂い記憶を形成させるために、本年度は古典的条件付けに加えて、オペラント条件付けの手法を開発した。オペラント条件付けを行うためには、動物の特定の行動に応じて罰又は報酬を与え、その行動を強化する必要がある。そこで、固定下のハエの行動に応じて匂い刺激とパノラマを更新できる仮想空間を構築した。具体的には、飛行中のハエのトルクに応じてパノラマを回転させ、二分割された仮想空間を行き来できるようにした。一方の空間を飛行している際には匂いと罰を与え、他方の空間を飛行している際には匂いも罰も与えないようにした。罰には赤外光レーザーによってもたらされる熱を用いた。その結果、ハエは学習に用いた匂いを特異的に忌避するようになった。古典的条件付けの場合と比べて、より強固な記憶を形成させることに成功した。 神経活動の記録には主にカルシウムイメージングを用いているが、データ解析法を改良した。動物の脳は振動するので、その影響を軽減させるために、画像を時間や試行を超えてアラインメントする様にした。また、各糸球体における蛍光強度変化を自動的かつ客観的に抽出するために、イメージングした脳を標準脳にレジストレーションするコードを作成した。 また、人為的に神経活動を操作することで、匂い刺激無しで記憶を想起させたり、それを阻害したりすることを計画しているが、必要な手法である光遺伝学が機能することを確認した。Channelrhodopsin2分子をPNに発現させ、青色光を照射すると、活動電位が誘導された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オペラント条件付けを用いて、より強固な匂い記憶の形成に成功したため。また、カルシウムイメージングのデータを解析する方法が改良され、より正確に結果を解釈できるようになったため。更には、光遺伝学的手法が機能することを確認し、神経活動を人為的に操作するという目標を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、行動実験と生理実験を別々の個体で行ってきたが、それぞれの手法が確立されたので、両者を組み合わせて、飛行中の動物から神経活動を記録し、学習前後の変化を解析することを目指す。そして、神経応答変化のメカニズムを細胞、シナプスレベルで調べる。更に、光遺伝学を用いて特定のPNもしくはKCの活動を操作し、可塑的な神経活動変化が記憶の想起に必要であるかどうかを検証する。
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Research Products
(4 results)