2011 Fiscal Year Annual Research Report
術中蛍光スペクトル情報に基づいた低侵襲高精度診断・治療一体化医療システムの開発
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23680049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廖 洪恩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40396784)
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Keywords | 診断治療一体化 / 蛍光計測 / 低侵襲治療 / 高精度診断 / 医療システム |
Research Abstract |
本年度では、基礎的な病変細胞を特異的に診断する技術の開発、蛍光スペクトル情報と病理検査との精密な比較および各診断情報の統合を行い、また非接触型治療デバイスによる高精度低侵襲治療法の開発を主たる目的として、主に下記のテーマの開発に取り組んだ。 1)腫瘍の光感受性物質の選定、細胞・組織機能計測技術による精密な腫瘍同定 悪性脳腫瘍は腫瘍摘出率が患者の予後に大きく関わっている。悪性腫瘍は浸潤性を持ち、境界部が不明瞭なため、腫瘍を全摘出するのが困難となっている。そのため腫瘍細胞に選択的に集積し、蛍光色素5-Aminolevulinic Acidなど蛍光物質を含め、腫瘍親和性の光感受性物質を検討・選定し、腫瘍組織と正常組織との識別を行った。光感受性物質は術前に患者に投与されると励起光の照射により赤色の蛍光を発生し、これによって術中で腫瘍部位を確認する。 2)蛍光スペクトル情報と病理検査との比較・解析による精確な腫瘍判別 蛍光スペクトルを得るのに必要十分な光量を確保するために、スペクトル計測に特化した光学設計を行った。具体的には、CCDカメラに入る光量と分光器入る光量の配分を適切にすることで、必要最小限の術野画像を得ながら、スペクトル計測できる光学系を開発した。また、統計学的に扱える十分な症例数を実施し、得られたスペクトル情報と病理検査の結果から多変量解析を行った。 3)レーザ蒸散技術とメカトロニクス、コンピュータを駆使した標的腫瘍診断・治療デバイスの開発 腫瘍組織の蛍光計測を行う励起光、蛍光と腫瘍の蒸散を行うマイクロレーザが同軸の光路を通り、腫瘍組織の表面を走査することができる小型デバイスを開発し、このデバイスは蛍光スペクトル計測部、ビーム走査部で構成されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「蛍光スペクトル情報と病理検査との比較・解析による精確な腫瘍判別」、「レーザ蒸散技術とメカトロニクス、コンピュータを駆使した標的腫瘍診断・治療デバイス」などの技術を開発し、計画の通りに現時点で到達すべき目標を達成し、研究全般として研究開発が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、開発された「蛍光スペクトル情報と病理検査との比較・解析による精確な腫瘍判別」、「レーザ蒸散技術とメカトロニクス、コンピュータを駆使した標的腫瘍診断・治療デバイス」などの技術融合とシステム統合を開始し、同時に「内視鏡に搭載可能な腫瘍組織の蛍光計測およびレーザ蒸散できる小型装置」の開発を行う予定である。
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