2012 Fiscal Year Annual Research Report
術中蛍光スペクトル情報に基づいた低侵襲高精度診断・治療一体化医療システムの開発
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23680049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廖 洪恩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396784)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 診断治療一体化 / 蛍光計測 / 低侵襲治療 / 高精度診断 / 医療システム |
Research Abstract |
平成24年度では、蛍光スペクトル情報と検査結果との比較・解析による精確な腫瘍判別、レーザ蒸散技術とメカトロニクス、コンピュータを駆使した標的腫瘍診断・治療デバイスなどの技術融合とシステム統合を開始し、また術中腫瘍同定のための計測情報と、手術ナビゲーションシステムを統合した術中情報提示システムを開発し、主に下記の内容に取り組んだ。 腫瘍組織の表面を走査することができる診断と同時に非接触方式の小型高精度治療デバイスを開発し、腫瘍組織を除去するためのレーザとして、水による吸収に優れ、1W以下の出力で生体組織を蒸散できるための波長2.94μmのレーザを用いた。レーザ装置はパルス発振のためレーザ出力は繰返し周波数とパルスエネルギーによって定まる。熱変性を抑えられるようレーザ照射を行うことで、レーザ蒸散跡部にまだ残存している腫瘍のPpIX蛍光を検出でき、開発したシステムにおいて脳組織を蒸散するだけのレーザ出力は確保できていることを確認できた。また、術中計測システムと位置計測ナビゲーションシステムを統合し、腫瘍診断・治療小型デバイスから得られた蛍光スペクトル情報を手術ナビゲーション上に提示し、蛍光スペクトル波形と判定されたクラスターの特徴情報を病変部位の判別を支援する手法として、術者に提示する方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「レーザ蒸散技術とメカトロニクス、コンピュータを駆使した標的腫瘍診断・治療デバイス」、「診断と同時に非接触方式の小型腫瘍組織の高精度治療デバイス」などの技術開発を行い、計画の通りに現時点で到達すべき目標を達成し、研究全般として研究開発が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、開発された「レーザ蒸散技術とメカトロニクス、コンピュータを駆使した標的腫瘍診断・治療デバイス」、「腫瘍組織の蛍光計測およびレーザ蒸散できる小型装置」などの技術融合とシステム統合を行い、治療デバイスと画像表示を統合し、ナビゲーションシステムへと発展させ、これまで成し得なかった精度の高い位置情報を術者に提示する。同時に「システム統合および動物評価実験、治療への基礎的臨床応用・評価」を行う予定である。 低侵襲診断・治療における基礎技術の融合とシステムの統合の研究開発では、専門医や連携研究者との議論を行い、ファントム実験・動物実験による評価を繰り返すことで完成度を臨床のレベルまで高めていく。各種治療に適した表示方法、並びに精度について検討し、システムの基本性能試験の後、動物実験等によりその機能を評価し改良を行う。また、手術の要求仕様や具体的な使途、さらには手術シナリオにおける開発したシステムの位置づけなども綿密に検討する。
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