2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工神経代替装置によるニューロリハビリテーション法の開発
Project/Area Number |
23680061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
西村 幸男 生理学研究所, 発達生理学研究系, 准教授 (20390693)
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Keywords | 随意運動 / Brain-computer interface / 脊髄損傷 / 脳梗塞 / 歩行再建 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究は記録された生体電気信号を刺激波形に変換し、その波形により大脳皮質・脊髄・末梢神経を刺激する事で人工的な神経接続を形成し、脊髄損傷や脳梗塞等で失った神経回路・経路を代替する非侵襲的なclosed-loop型の携帯Brain-Computer Interface装置の開発とその臨床応用を目的とする。平成23年度で得られた主な成果は以下である。 1)人工神経接続への適応可能な組み合わせについて以下の2点について有望な結果を得た。 ○筋活動-脊髄間の人工神経接続:上肢筋の活動パターンに依存した腰髄磁気刺激により上肢筋-腰髄間の人工神経接続を形成することで、人工神経接続による下肢歩行運動の開始・停止及びその歩調を随意制御出来る事を健常被験者にて明らかにした。この結果は人工神経接続が脊髄損傷患者さんの腰髄に残存する歩行中枢への下行性入力を代替し、随意的歩行再建の可能性を示した。 ○筋活動-末梢神経間の人工神経接続:手関節屈筋群の筋活動パターンに依存した電気刺激を正中・尺骨神経へ行う事により、随意的な手関節屈曲を促進する事が可能であった。さらに人工神経接続を数十分続ける事により少ない下行性入力で目的の運動を達成できるようになった。これらの結果は脳梗塞・脊髄損傷などで脳からの下行性入力が不十分なため麻痺が生じる患者さんの運動促進が可能である事を示した。これらの結果はこれまで実現していなかった自身の四肢をclosed-loop型のBCIにより神経経路を代替し、随意制御を可能にしたという点で学術・臨床双方に高いインパクトを持つ。 2)人工神経代替装置は135×75×35mmの筐体に2chの生体アンプ、2chの電気刺激、及び記録波形-刺激波形変換を行うためのマイクロコンピュータを搭載し、人工神経接続を実現するための機能を実装する事に成功した。また、我々はこの装置によって記録された生体信号を用いてマウスカーソルを動かすためのマウスエミュレータを開発し、生体電気信号操作によるリハビリテーショントレーニングが実施可能な状況である。これらの機器は全て無線で相互接続し、自由行動下のヒトで試験を行う段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度で人工神経接続への適応可能な組み合わせ及び刺激パラメータをラックマウント式の実験システムで明らかにし、筋-脊髄間、及び筋-末梢神経間の人工神経接続による運動機能再建に成功した。また、携帯型の人工神経代替装置のプロトタイプを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度で得られた「上肢筋-腰髄」「手関節屈筋-正中・尺骨神経」間の人工神経接続で代替できる運動機能は申請者の想定以上であり、ラックマウント式であっても臨床応用した際に大きな成果が期待される。当初の計画では人工神経代替装置の小型化が次の課題となるが、患者さんへの臨床応用を早める必要がある。従って、平成24年度では人工神経代替装置の小型化、人工神経接続への適応可能な組み合わせの検討に加えて、患者さんへの臨床応用も同時に進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)