2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工神経代替装置によるニューロリハビリテーション法の開発
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23680061
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
西村 幸男 生理学研究所, 発達生理学研究系, 准教授 (20390693)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Brain computer interface / 随意歩行 / 脊髄 / 手 / 随意運動 |
Research Abstract |
本研究は脊髄損傷や脳梗塞な等で失った神経回路・経路を代替する非侵襲的なClosed-loop型の携帯Brain-computer interface装置の開発とその臨床応用を目的とする。23年度、1)上肢筋-腰髄間の人工神経接続により下肢歩行運動を随意制御可能であること、2)上肢筋-末梢神経間の人工神経接続により、随意的な手関節屈曲運動を促進可能であることを報告した。平成24年度においてこれら二つの人工神経接続で得られた成果及びこれらの人工神経接続を実現する3)小型の人工神経代替装置開発で得られた成果は以下である。 1) 上肢筋-腰髄間の人工神経接続による歩行運動の誘発は腰髄への磁気刺激により実現される。本年度は歩行を誘発することに最適な腰髄磁気刺激の刺激部位を検討した。その結果、腰椎の第1-3椎間上を刺激することによって、高確率(10名中7名)で下肢の歩行運動を誘発することに成功した。これらの結果は歩行運動に関わる神経回路網が第1-3腰椎の直下にあることを示唆している。 2) 23年度は手関節屈曲の協働筋である長掌筋-尺骨神経間の人工神経接続により手関節の屈曲運動を促進することに成功した。本年度は手関節屈曲の主動筋である尺側手根屈筋-尺骨神経間においても人工神経接続適用し、手関節の屈曲動作を促進することに成功した。異なる筋で人工神経接続が実現できるという成果は、患者さんの残存する機能に合わせて筋を選ぶことができるという点で、臨床応用の可能性を広げる成果であった。 3)23年度、小型の筐体に2chの生体アンプ、2chの電気刺激装置を搭載することに成功していた。本年度は記録波形-刺激波形変換を行うプログラムを開発し、その機能を実装することに成功した。この記録-刺激変換は無線でPCと交信が可能であり、PCで設定した刺激波形を自由行動化でヒトの末梢神経へ適用することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請は患者さん自身の損傷されずに残った神経と四肢を有効利用した人工神経接続によるclosed-loop型の携帯型BCI装置の開発と、その装置を非侵襲的に利用した自由行動下の日常生活下でもリハビリテーション可能なリハビリテーション法の開発を目指している。これまでに発見した1)上肢筋-腰髄間、2)上肢筋-末梢神経人工神経接続はそれぞれ下肢歩行運動の随意制御が可能であるという点、手関節の屈曲運動を促進できるという点で、高いリハビリテーション効果を期待できる手法である。これらの人工神経接続は臨床応用に向けてすでに病院と協力関係ができており、患者さんの選定に入っている。これは当初の計画以上に進行している。 携帯型の人工神経代替装置は自由行動下にて刺激を行うことが可能になった。この進捗は本申請で平成24年度に計画していた通りである。 一方で、小型の神経代替装置にGPS機能を搭載し長距離のデータ通信を行うという点はいまだ実現していない。
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Strategy for Future Research Activity |
上肢筋-腰髄間及び上肢筋-末梢神経間の人工神経接続は脊髄損傷による対麻痺患者さんの随意歩行再建や、脳梗塞による片麻痺患者さんの上肢運動を促進できる可能性を持っている。これらのリハビリテーション効果は当初の想像を上回る結果であり、ラックマウント式のシステムであったとしても十分に価値がある。そこで、平成25年度では臨床応用を主として進めている。現在複数の病院と協力関係を準備している段階であり、いくつかの病院は患者さんの選定に入っている。従って、人工神経接続の長所を生かして臨床応用を進めていく。 また、現在進めている人工神経代替装置も引き続き開発を続けていく。今年度は健常被験者にて、人工神経接続の実用化を目指す。
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Research Products
(18 results)