2012 Fiscal Year Annual Research Report
歩行中の転倒リスク評価・警告装置の開発-日常の歩容を見守ることによる転倒数減少策
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23680062
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 吉之 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, 研究員 (00409682)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転倒予防 / 歩行評価 / 人間工学 / デジタルヒューマン |
Research Abstract |
昨年度の成果を踏まえて本年度は,1)つまずきリスク評価装置の実地試験と「つまずきリスク年齢」の提案,及び2)リスク因子を精度高く抽出するために必要なデータベースの拡充の2つの課題を行った. 1)つまずきリスク評価装置の実地試験と「つまずきリスク年齢」の提案: 上記のとおり開発したつまずきリスク評価装置について,様々な現場に持ち込んで実地試験を行い現状の課題を抽出した.これまでに延べ200名以上を対象にデモを行い,装置が出力するMTCの統計量では,つまずきリスクを主観的に理解しづらいという点が明らかになった.そこで産総研DHRCが保有するヒト歩行DBを用いて,MTCのばらつきの傾向からユーザが何歳相当のつまずきリスクに該当するのかを表すことができる「つまずきリスク年齢」を作製し,実際にこの新指標をフィードバックすることによるMTCへの影響を定量的に評価した.その結果,つまずきリスク年齢をフィードバックした群は,何もフィードバックしなかった群に比べて有意につまずきリスクが減少する傾向が確認された.一方これまで通りMTCの統計量をフィードバックした群では有意な効果は確認できなかった.これらのことからつまずきリスク年齢によるMTCへの効果が示唆された.評価指標の認知と運動変容のメカニズムの解明は今後の研究課題であるまた,上記データベースに登録されているデータの年齢分布に偏りがあるため,以下の2)でこの拡充を行う. 2)転倒のリスク因子抽出用データベースの拡充: 既存のデータベースに登録が少ない,45歳~60歳といった,中高年の歩行データを計測し,データベースの拡充を行うことで,リスク因子をセンサから抽出する際の精度を上げた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度,(独)産総研内で実施された気仙沼絆プロジェクトに参加し,気仙沼市内の仮設住宅住民向けの健康増進イベントに参加した.その際,開発中の転倒リスク評価装置のデモも行い,様々なフィードバックを得ることができた. また気仙沼以外にも,つくば市の健康イベント(8月)や東京お台場地区での科学体験イベント(12月)でデモを行うことで多くの課題を抽出することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り床反力や加速度を用いた転倒リスク評価装置の開発を行うとともに,それ以外のセンサ(たとえばMicroSoft社のKinectなど)への展開も考えている.また転倒だけでなくロコモーティブシンドロームのリスク評価も視野に入れることで,より広範な範囲で健康維持増進に用いれるような危機の開発を行いたいと考えている. 具体的には,ロコモ―ティブシンドロームのリスクと歩行を併せて計測することで歩行の特徴との関係を明らかにしたいと考えている.
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Research Products
(5 results)