2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋サイズを制御する遅筋または速筋特有のエピジェネティクス検索
Project/Area Number |
23680065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 史倫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90346156)
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Keywords | 骨格筋特性 / エピジェネティクス / 筋サイズ調節 / DNAメチル化 / 転写調節 |
Research Abstract |
遅筋または速筋の特性を作り出すエピジェネティクスを検索するため、平成23年度はラットを用いた実験モデルによって候補遺伝子の絞り込みを行った。協働筋腱切除により成熟ラットのヒラメ筋または足底筋に筋肥大を誘発した。ヒラメ筋においてはどの筋線維も一律に肥大したが、足底筋では遅筋線維のみに顕著な筋線維肥大が認められた。これらの筋から抽出した総RNAを用いてマイクロアレイ解析を実施し、「ヒラメ筋において発現が極めて少なく」かつ「足底筋肥大時に発現増加しない」条件で全既知遺伝子(約35,000種)から検索したところ、15種類の遺伝子が該当した。続いて、これらの遺伝子について、「転写開始点付近にCpG islandが存在するか否か」をNCBIデータベース上で検索した。その結果、0/E比が0.65以上の高密度でCpGが分布する4種の遺伝子が見つかった。更に、リアルタイムPCR法を用いて遺伝子発現量を定量評価した結果、4種中2種の遺伝子においてヒラメ筋と足底筋の間に顕著な発現差が認められた。以上の結果から、遅筋特性を持つヒラメ筋では発現が強く抑制されている遺伝子があり、この遺伝子座には遺伝子発現制御に関わるメチル化部位(CpG island)が存在していることから、エピジェネティックに発現制御されている可能性が非常に高いと考えられる。また、これら2種の遺伝子は、骨格筋においてはその機能や発現変動がまったく知られておらず、遅筋または速筋固有の新規シグナル系解明のターゲット因子に成り得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目標は候補遺伝子を絞り込むことであったが、すでにDNAメチル化解析の手法検討もかなり進んでいる。まだデータとして結果を提示できるまでは至っていないものの、バイサルファイトPCRやシークエンス解析に関しては適切な手法のカスタマイズは既に完了した。また、平成23年度に実施した実験モデルおよびマイクロアレイ解析により、発現差の非常に大きい遺伝子がスムーズに絞り込めたことも、当初の計画以上に進展した理由に大きく貢献している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度前期に実施するバイサルファイトシークエンスの解析結果を基に、メチル化パターンに特異的なプライマーを設計し、methylation-specific PCR解析を行う。DNAメチル化と遺伝子発現制御に密接な関わりがあるか検証するために、筋再生中や筋萎縮中においてこれらが並行して挙動を示すかも検討する。
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