2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動時の心臓副交感神経活動はどのように制御されているのか?
Project/Area Number |
23680067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
土持 裕胤 独立行政法人国立循環器病研究センター, 心臓生理機能部, 室長 (60379948)
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Keywords | 運動 / 循環 / 自律神経活動 / 心臓 |
Research Abstract |
本研究の目的は,運動時の循環調節に重要な心臓自律神経機能のうち,運動時の心臓副交感神経活動の計測技術の確立,及び運動時の同神経の機能を調べることである。本年度は以下の2点について検討を行った。 [1]麻酔下または除脳・無麻酔下での心臓副交感神経活動計測技術確立のための手術方法を確立することを主目的とした。実験にはラット(体重250-500g)およびマウス(体重25-35g)を用いた。マウスは神経軸索特異的に蛍光タンパク質を発現する遺伝子改変マウスを用い,心臓を支配する交感神経および副交感神経の走行を蛍光実体顕微鏡にて観察した。マウスにおける解剖学的所見と照らし合わせて,麻酔下ラットにて右胸を開胸し,実体顕微鏡下で心臓副交感神経である迷走神経心臓枝の走行を追跡し,電極の装着方法および電極の構造を検討した。また,心臓副交感神経活動は麻酔薬によって著しく抑制されるため,複数の麻酔薬を用いて麻酔薬の影響を比較検討した。当初の研究計画には無かったが,神経が蛍光標識された遺伝子改変マウスを使う事が出来るようになり,神経の解剖学的走行を追跡することが容易になったことは,研究の効率が高まることが期待される。 [2]心臓に対する心臓自律神経機能を詳細に評価するためには,心拍数と血圧の評価だけでは不十分である。そこで,ラットおよびマウスにおける意識下での心拍出量,一回拍出量,心拍数の計測法を検討した。また,心機能に重要な心筋血流量調節機構を調べるため,心筋血流量の直接計測法の開発に取り組んだ。今回試みている心筋血流量評価法は心筋血流量調節機構の解明のみならず虚血心筋の再生治療の評価にも使える可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度,別予算で急きょ神経軸索が蛍光標識された遺伝子改変マウスおよび蛍光観察用実体顕微鏡システムを導入することが出来た。この実験系を用いると,本申請で計画している,マウスでの神経活動計測が飛躍的に容易になり,しかもその結果をマウスからラット・ラビットへ適用出来る可能性が高いと考えた。そこでマウスを用いた研究を繰り上げて行うことにしたため,その準備に時間を要し,結果として神経活動計測法の開発に取り組む時間が減少した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように神経が蛍光標識された遺伝子改変マウスを使う事が出来るようになったため,当初の計画よりは研究の進行が遅れたが,今後は神経の同定作業に関してはかなり時間を短縮できそうである。遺伝子改変マウスの有用性が確認できれば,今年度もラビットよりマウスを使う機会が多くなる可能性が高い。研究遂行上の問題点は,特に無い。
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