2013 Fiscal Year Annual Research Report
食事摂取基準の補完を目的とする二重標識水法を用いた幼児のエネルギー代謝測定
Project/Area Number |
23680068
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
海老根 直之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30404370)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幼児 / 二重標識水 / フード法 / 基礎代謝 / システマチックレビュー / エネルギー必要量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本人の食事摂取基準におけるエネルギー必要量の強化を目標にかかげ,世界的にデータ不足の状態に瀕している幼児を対象と定めたエビデンスの拡張を行った. エネルギー必要量は基礎代謝量に身体活動レベルを掛けて求めるアプローチが取られているが,幼児を対象として真に基礎代謝量と呼べるデータを取得することは容易ではない.本研究の成果の一つとして,安静指示に代えて映像視聴課題を提示することで被検者に安静状態が発現し易く,また安静が維持し易くなることが明らかとなった.間接熱量測定法のゴールドスタンダードとされるチャンバー法を妥当基準とし,普及型のフード法で良好な測定結果を得るための装置の調整法を含めた測定条件を明らかとした.これらの知見をもとにフィールド調査において幼児16名(男子8名,女子8名)の基礎代謝量の実測を行った.各種方法による推定値との比較を行ったところ,最も良好な値が得られたのが食事摂取基準に年齢区分ごとに示される基礎代謝基準値と体重から算出する方法であった. 着実なデータ取得が可能な実態調査は意義深いが,予算や時間の制約から効率の面で優れているとは言い難い.そこで調査と平行して,小児を対象に二重標識水法を用いている既報論文を対象としたシステマチックレビューを実施した.Pubmedでヒットした372件の文献を精査し,これらが反映されたデータベース[抽出項目:文献情報(著者,誌名,発行年など),対象者特性(性別,年齢,身体組成など),エネルギーデータ(総エネルギー消費量,基礎代謝量など),その他]を作成した.最終的に有効と判断された49件の文献の中から2,251名の対象者のデータを抽出し,基礎代謝量を介さないアプローチで小児のエネルギー必要量を試算した.しかしながら,日本人データの不足は明らかであり実態調査の必要性が協調される結果となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で実施するフォールド調査においては,測定の難易度が高く真の値の取得が難しいとされる幼児の基礎代謝量測定を実施している.測定中の被検者に不慮の体動が生じてしまうことがあるためこれを回避しつつ,現場で運用可能な装置群にて信頼性を最大限高めたデータを取得する術について,これまで数多くの知見が得られている. 研究目的の達成のため,フィールド調査と平行して文献研究も行うこととし,取り組みを開始しているが,限られた時間の中で効率的にデータベースを作成することができた.今後これは拡張されることになるが,根幹をなす土台として十分なものができあがっている. 調査,文献研究の両面において有意義な知見が取得されており,総じて研究は順調に推移していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題においては,安定同位体を用いた幼児の総エネルギー消費量の測定が特徴的な達成課題と位置づけられる.既に試料を収集し分析が行える段階まで研究は進展している.確実にこれを完了した上で,既に作成済のデータベースにこれまでに実施したフィールド調査のデータを組み込むことで研究を完成させて行く. また,追加調査の可能性を模索しつつエビデンスをより強固にしたいと考えている.
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