2012 Fiscal Year Annual Research Report
南北両極の氷床コアに含まれるエアロゾル組成を用いた氷期間氷期の大気化学環境の解読
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23681001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯塚 芳徳 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (40370043)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流スウェーデン / 氷床コア / エアロゾル / 昇華法 / 硫酸塩 |
Research Abstract |
・南極ドームふじ氷床コアに含まれる不揮発性微粒子の分析を継続した。第1期ドームふじ氷床深層コアの最終退氷期を数百年スケールで分析し、データの解釈を継続している。 ・南極ドームふじ氷床コアに含まれる不揮発性微粒子の分析のうち水溶性エアロゾルのひとつである硫酸塩エアロゾル粒子に着目し,過去30万年間のフラックスを復元することに成功した。大気中の硫酸塩エアロゾルが氷期-間氷期サイクルの気温変動を増幅していたことを初めて解明し、将来の地球温暖化予測において,最も大きな不確定要因になっているエアロゾルの影響評価を,高精度でモデルに取り込むことができるようになると期待される。この研究成果をNatureにて発表した。 ・北極NEEMコアに含まれる不揮発性微粒子の分析を継続した。NEEMコア全長にわたり5000年分解能で分析し、データの解釈を継続している。 ・北極NEEMコアに含まれる不揮発性微粒子の分析のうち水溶性エアロゾルである硫酸塩・塩化物塩エアロゾル粒子に着目し,南極コアに含まれるエアロゾル組成との比較をsした。北極コアに含まれる水溶性塩は主に塩化物塩であり、南極コアに含まれるエアロゾルとは組成が大きく異なっていることが明らかとなった。特に北極コアの最終氷期最盛期において、塩化物塩/硫酸塩の比が大きくなることが分かった。現在、その理由を議論している。今後、議論をまとめ、国際学会等で発表し、査読付きの学術論文に投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
5年計画の3年目という中期にもかかわらず、南極の過去30万年間のコア研究成果としてNatureに「氷期-間氷期の気温変動に硫酸塩エアロゾルが寄与している」という主旨を論文発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
両極アイスコアに含まれる不揮発性粒子の解析がこの課題のメインテーマである。南極のほうは成果を得た。今後は北極コアのデータの解釈および成果創出に特化していく。 ・南極ドームふじ氷床コアについては、第1期ドームふじ氷床深層コアの最終退氷期を数百年スケールで分析した結果の論文化。 ・北極NEEMコアについては、指導学生をスウェーデンに派遣し分析をさせる。あわせて得られたデータの解釈を継続している。可能であれば、平成25年度内に論文化。
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Research Products
(7 results)