2012 Fiscal Year Annual Research Report
マルチトレーサーによる北極海の酸性化に関する定量的研究
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23681002
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
川合 美千代 東京海洋大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (50601382)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 北極 / 海洋酸性化 / トレーサー / 国際研究者交流 / カナダ |
Research Abstract |
北極海カナダ海盆における海洋酸性化の実態を定量的に評価するため、砕氷船による観測航海に参加し、アルカリ度、全炭酸、酸素同位体比の試料採取と測定を行った。観測の結果、2012年夏季にアラゴナイト未飽和水に達した表層水が広く分布していることが明らかになった。未飽和水の分布は低塩分水の分布と概ね一致しており、海氷融解水による希釈が未飽和の主な原因であることが分かった。 また、隔週採水を1年間行うよう設定した時系列採水器2式をカナダ海盆の表層に係留設置した。H25年度に回収し、試料の分析を行う予定である。これにより、これまでに殆ど観測されていない冬季を含む化学成分の詳細な季節変動を初めて明らかにすることが期待される。 また、過去のデータを用いた解析から、北極海の海水のアルカリ度と全炭酸をそれぞれ水温・塩分・溶存酸素であらわす式を作成した。これにより、World Ocean Atlas に含まれる水温・塩分・溶存酸素のデータを用いて北極海全体のアラゴナイト飽和度をマッピングすることが可能となった。観測データの少ない北極海において、海洋酸性化に対して脆弱な海域の推定や、将来予測のためのモデルの検証に有用な貴重な情報を提供できるようになった。 その他、海水の混合過程を詳細に調べるための化学トレーサーとして用いるSF6の測定装置を作成した。H25年度の航海に使用する予定である。 以上の研究に関連した研究論文3報が国際誌に投稿済み、3報が執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
航海による試料採取・測定と装置の作成、係留系の設置などを行うことができたため、 概ね計画通りに進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度も引き続き砕氷船観測航海に参加し、測定試料の採取・分析を行うほか、時系列採水器を回収し、表層の化学成分の季節変動を明らかにする。さらに、SF6の測定を行う。 航海後はすみやかに結果を解析し、論文にまとめる予定である。
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Research Products
(6 results)