2012 Fiscal Year Annual Research Report
不溶化処理の普及を目指した廃棄物資材の重金属不溶化機構の解明と生物影響評価
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23681013
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 土壌汚染 / 不溶化 |
Research Abstract |
土壌汚染対策法によって定められている対策は,原則として不溶化処理のように現場内において汚染のリスクを低減することを目的とした措置である.不溶化処理は,廃棄物資材を有効に活用し,安価に実施可能であるにも関わらず,科学的知見に基づく検討が不十分であるために普及が進んでいない.不溶化処理の適用を検討している自治体や企業が最も知りたいことは,「処理土の安全性」である.そのためには,処理によって重金属がどのような形態に転換されるのかを定性・定量することが重要になる.その結果,処理土の長期安定性の予測や生物影響評価が初めて可能になる.不溶化処理が普及するためには,利用されている資材について,①重金属の不溶化機構,②長期安定性を明らかにする必要がある.本研究では,これらの点について解明するための実験を行い,成果を重金属汚染土壌の不溶化処理の普及につなげることを目的とした. 今年度は,主としてゼロ価鉄を用いた不溶化試験を実施した.ゼロ価鉄を用いたカドミウムの不溶化試験は,水田の湛水状態の土壌(還元状態)を模擬したカラム実験を実施した.ゼロ価鉄の添加は,土壌の酸化還元電位を急激に低下させ,それに伴って土壌溶液中に溶出するカドミウムの濃度も低下した.これらの効果は,ゼロ価鉄を添加しない場合よりも顕著であった.土壌中のカドミウムは,その一部が硫化カドミウムとして存在していることが放射光X線分析によって確認された.ゼロ価鉄添加によって,硫化カドミウムの生成割合が増加した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実験は順調に遂行された.結果はすでに論文として投稿されて受理された.関連の学会発表も実施した.これらの点から順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き実験を行い,本研究の目的達成に向けて鋭意進めていく.学会発表の結果をまとめて,論文投稿につなげるように努める.
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