2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス視覚野におけるMecp2とFoxg1の標的ゲノム領域探索
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23681041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
ARNER Erik 独立行政法人理化学研究所, LSA情報基盤施設, 研究員 (20571839)
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Keywords | レット症候群 / Mecp2 / FoxG1 / ChIP sequencing / Transcriptome analysis |
Research Abstract |
メチル化CpG結合タンパク質2(MECP2)遺伝子とフォークヘッドボックスタンパク質G1(FOXG1)遺伝子の変異は、シナプス可塑性の阻害によって引き起こされる重篤は神経発育異常であるレット症候群(RTT)の原因と考えられている。 MECP2とFOXG1は、標的となる遺伝子のクロマチンに結合することによって転写制御を行うことが知られていることから、シナプス可塑性に関連する標的遺伝子の制御不全がRTTの症状の原因と信じられている。本研究の第一目的は、MECP2とFOXG1の個別の、あるいは共通の標的遺伝子を同定し、それら標的遺伝子の発現がMECP2遺伝子欠損マウスにおいてどう変化するのかを、可塑性獲得の3つの重要な時期であるP14、P30、P60で明らかにすることにある。さらに我々は、MECP2とFOXG1が標的遺伝子に結合することにより、標的遺伝子の転写を正か負かのどちらに制御しているのかをも明らかにしたいと考えていたが、やはり11月下旬に受けたことは予想外に時間がなく、初年度では、抗MECP2抗体、抗FOXG1抗体を用いたChIP-シークエンス法にて、MECP2とFOXG1の標的遺伝子を同定するまでと、変更せざるを得なかった。11月からChIPシークエンシング用にサンプルを作成し試薬を収集した。プールしたクロマチンの準備が進行中であり、来週中にはMeCP2、FoxG1とRNA PIIに対する抗体を用いて、ChIPを完了するところまでこぎつけた。4週間以内にはシークエンシング用にChIPライブラリーを作成しシークエンシングを依頼します。次に、イルミナのHi-seqバージョン3でこれらのバーコード付ライブラリーをシーケンスにかける予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
科研費が11月下旬に追加採択された為
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、シーケンスを行ったChip-seqライブラリの解析を初めに行う。MeCP2,FoxG1,IgGおよびRNA pol IIに対する抗体を用いた免疫沈降によるクロマチンより調整したライブラリを、免疫沈降時に用いたクロマチンを対照として使用し、MACS peak caller softwareを用いてバイオインフォマティックな解析を行う予定である。 視覚野中のMeCP2およびFoxG1の個別あるいは共通の標的遺伝子を同定することを目的としている。RNA pol II抗体を用いた解析により、MeCP2、FoxG1の両者又はどちらかが結合することにより転写が活性化している標的遺伝子が明らかとなる。逆に、MeCP2、`FoxG1の両者又はどちらかが結合することにより不活性化される標的遺伝子は、MeDIP librariesを作成し、Hi-seqを用いたシーケンス解析することで明らかにする予定である。メチル化されているゲノム領域は、バイオインフォマティックな解析により明らかとなる。これらの解析により、転写が活性化、あるいは、不活性化されていると予測された標的遺伝子の評価は、ChIP qPCRおよびmethylation specific PCRを用いて行う予定である。mecp2遺伝子ノックアウトおよび野生型マウスの視覚野をサンプルとして解析した既存のCAGEデータと比較することにより、候補としてあがった標的遺伝子の活性化あるいは不活性化を検証する。ChIPおよびMeDIPにより得られたシーケンスデータは、論文発表に先立ち、DDBJに登録するつもりである。
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