2012 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞上での革新的化学合成と非侵襲的イメージングの融合による癌転移の可視化と制御
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23681047
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 克典 独立行政法人理化学研究所, 田中生体機能合成化学研究室, 准主任研究員 (00403098)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アザ電子環状反応 / アミノ基接着プローブ / 糖ペプチド / 歪み解消二重クリック反応 / タンパク質 / 生細胞 |
Research Abstract |
報告者はこれまでに、本研究課題において鍵となる「癌細胞の蛍光標識」にも用いた、独自のアザ電子環状反応を鍵として、糖鎖を含めた低分子化合物の細胞表層への化学的導入(バイオコンジュゲーション)に成功している。しかし、導入効率と一般性、ならびに簡便性に必ずしも優れた方法とは言えなかった。そこで、平成24年度では、目的とするアミノ基間での二度のアザ電子環状反応を経る新規な「低分子/細胞接着プローブ分子」を検討することによって、効率良く様々なペプチドや糖ペプチドを細胞上に修飾できる方法の実現を目指した。すなわち、Sondheimer diyneを用いる歪み解消二重クリック反応により、他の条件下では不可能だった共役エステルアルデヒドを効率的に二量化することができた。このようにして得られたプローブに対して、まず1つ目のアミノ基を持つビオチンや環状RGDペプチド、あるいはソマトスタチンや複雑な構造を持つN-結合型糖ペプチド分子を作用させたところ、プローブの濃度、および反応時間を制御することによって、1分子の分子のみ選択的にアルデヒドと反応させることができた。さらに続けて、タンパク質のモデルとして用いたヒト血清アルブミンと室温下、30分反応させることによって、5分子程度をタンパク質に効率的に導入することに成功した。さらに、細胞表面上のアミノ基と反応させることも可能であり、生細胞に対して37oCで5分程度反応させることにより、細胞に障害を与えることなく蛍光色素やN-結合型糖ペプチドを高効率的に導入することに成功した。新法の全ての段階で各反応が効率的に進行するため、歪み解消二重クリック反応から始めて、不安的な中間体を全く精製することなく、サンプルを加えるだけで効率かつ簡便にバイオコンジュゲーションを行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には癌細胞の蛍光イメージングを実現するとともに、癌表面の糖鎖構造による転移の相違を明確にイメージング技術により可視化することに成功した。さらに、平成24年度には、様々な生理活性ペプチドや糖ペプチドを生細胞表面に導入するための、より一般的な方法を見出すことができ、今後、癌細胞表面での化学的な糖鎖導入とその転移活性や抑制をイメージングにより検出する礎を築いた。このように、研究は順調に進行していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度、および24年度の成果を基に、癌細胞表面に対して化学的な糖鎖導入と蛍光標識を実施して、その転移活性や抑制をイメージングにより検出することを試みる。また、糖ペプチド導入の方法論を、さらに癌細胞表面へのポジトロン放出核種による標識に展開して、PETイメージングと最終的に動物内での化学反応の実施へと繋げる。
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Research Products
(51 results)
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[Presentation] Library-oriented Synthetic Study of N-Glycans2012
Author(s)
Yoshiyuki Manabe, Masahiro Nagasaki, Naoya Minamoto, Regina Salmasan, Katsunori Tanaka, Koichi Fukase
Organizer
ACP2012、日本学術振興会アジア研究教育拠点事業ICCEOCA-7/NICCEOCA-3、School of Biological Sciences, Nanyang Technological University
Place of Presentation
シンガポール:Nanyang Technological University
Year and Date
20121213-20121213
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[Presentation] Library Oriented Synthetic Study of N-Glycans2012
Author(s)
Yoshiyuki Manabe, Masahiro Nagasaki, Naoya Minamoto, Regina Salmasan, Katsunori Tanaka, Koichi Fukase
Organizer
The Twelfth International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry(IKCOC-12)
Place of Presentation
京都
Year and Date
20121113-20121113
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