2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23682001
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
VANGOETHEM ELLEN 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (20513196)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 思想史 / 四神相応 / 『作庭記』 / 宮都 / 樹木 |
Research Abstract |
本研究では、11世紀の『作庭記』に書いてある「四神相応」の概念に付与された解釈の起源について調査をおこなっている。『作庭記』に敷地条件として、東に川、西に大道、南に澤、北に山が明記される。しかし、もし「四神相応」の地勢でない場合、四方に特定の植物を配すれば「四神相応」になるとしている。研究方法としては、「四神相応」の解釈が書いてある文献を探して、その内容を比較する。 24年度に、主に集まった史料(『作庭記』・『ほき内伝』・『地理新書』・敦煌写本など)の中の必要条件、樹木、数字の違いを調べた。多くある樹木の中で、特定の種類のみが好まれる理由と数字の根拠についての研究もした。また、「四神相応」にはいろんなモデルがあったことも確認した。分析の結果、私が「作庭記法」と呼ぶ中に、二つの慣行が見分けられることが理解できる。 古い慣行に分類される文献は、西に広い道を要求するという点に共通の特色がある。さらに、古い慣行はグループAに属する文献のみが該当する。これらの文献は、それぞれの方角に一種類ずつの樹木を指定するという共通項を有しており、特定の本数の樹木を植えることによる、地形的特徴条件の代替を認めている。加えて、樹木の種類に関しては統一が見られない。 新しい慣行は、西側に長い道を条件とし、グループBに属する文献のみを含んでいる。これらの文献は、調和的な環境を作り出すため、それぞれの主要な方角(東西南北)に二種類の樹木を配置しており、それらの本数は明記していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい史料を見つけられて、比較検証においても着実に進歩している。二つの論文は出版されて、もう一つは準備中である。加えて、本研究のおかげでフンボルト大学ベルリンと明治大学での国際学会に招待されている。
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Strategy for Future Research Activity |
集まった史料の徹底的な比較検証を続ける。それから、必要条件、樹木等の違いがある理由と最適地選択に必要な条件に関する文脈についての研究も続ける。最後に、「四神相応」の新解釈がどの時代まで遡るかを考察することになる。 関連分野の研究者との意見交換するために研究会を開催する。
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Research Products
(6 results)