2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23682009
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
丹野 研一 山口大学, 農学部, 助教 (10419864)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 考古植物 / 先史学 / 西アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
初期農耕時代の植物利用と環境についての総説を、シュプリンガ-出版の本に寄稿した(掲載確定され2016年度に発売予定、共著、英文)。本研究で手がけてきたハサンケイフ遺跡が、初期農耕時代にあってもなお農耕を選ばずに採集をしていたとみられる珍しい例であることなどにも触れつつ、本研究の大テーマとしている農耕起源についての具体像を一般向けに概説した。 2015年の作業としては、ハサンケイフ遺跡とデデリエ遺跡の植物同定を行った。デデリエ遺跡については2013年に一度概報を書いているが、これは全サンプルの約3%の調査量にすぎなかったので、その後も継続して行っている。農耕開始直前または始原的な農耕が存在していた可能性のある遺跡であり、調査例の乏しい年代に属し、かつ焼失家屋という人類史にとって重要な遺跡であることは確かなので継続研究中である。ハサンケイフ遺跡については2015年度に種子の同定を終了して、アーモンドやピスタチオ、エノキといった木の実すなわち周辺の自然植生に依存した植物食糧の調達を行っていたことが確定できた。年度の後半から樹種同定を始めて、同樹種の薪燃料としての利用を確認でき、同時代の農耕を行っていた地域よりもさらに乾燥した植生に本遺跡が属していたことが明らかとなった。乾燥植生のために本遺跡では農耕をできなかったとみられるが、彩色人骨や儀礼に使われた可能性のある公共建築施設などが本遺跡では発掘されており、採集生活から農耕生活への移行を知るための貴重な研究例となった。本成果は2016年7月の民族考古植物の国際学会での口頭発表に採択されており論文を準備中である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)